新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」において、2014年度に採択されました「道路インフラ状態モニタリング用センサシステムの研究開発」の研究開発を加速する目的で、「センサ端末同期用原子時計(ULPAC:Ultra-Low Power Atomic Clock)の研究開発」が、2015年度加速テーマとして採択され、2016年度以降もプロジェクト内で継続していくことが決まりました。
道路インフラモニタリングシステム(RIMS:ROAD Infrastructure Monitoring System)をはじめとするセンサ端末群は、ネットワークを介して時刻同期をすることで、データ取得の正確な時間を把握し、かつ、データ転送の効率化を図っています。もし、その時刻同期を不要とすることが出来れば、ネットワークの構築や運用にかかる負担を大幅に低減することができます。そこで、正確な時を刻む原子時計をセンサ端末に搭載可能なサイズや消費電力、価格にすることが出来るかを解析や試作を通して、技術的に検討していきます。
しかし、米国で研究開発された超小型原子時計CSAC(Chip Scale Atomic Clock)を持ってしてもセンサネットワークでの時刻同期を不要とするには、更なる消費電力の削減と長期安定度の向上が必須となります。時刻同期の技術は、センサネットワークだけでなく、パソコンやスマホなど、ネットワークに繋がる機器では当たり前に利用されており、実現した時の社会に与えるインパクトは計り知れません。これを実現するために、技術研究組合NMEMS技術研究機構では、世界の標準時間を司る高精度な周波数を作り出している産総研を中心に、国内で原子時計の小型化に取り組んできた大学や企業を集結し、その可能性の限界を追い求めていきます。
マイクロマシンセンターは、このプロジェクトの運営支援、研究開発の実施など主体的に参画してまいります。関係者の方々のご支援・ご協力をお願いいたします。
(2016年4月)
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