平成21年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。年頭にあたり所感の一端を申し上げ新春のご挨拶とさせていただきます。
さて、昨年は日本経済にとって波乱の年でした。まず、ここ数年来懸念されていた原油やレアマテリアルの価格上昇が一気に進み企業経営や国民生活を圧迫し、今更ながらにエネルギー資源や原材料が乏しい日本の産業基盤やライフラインの脆弱性を浮き彫りにしました。次にこれまたいつかは崩壊するであろうと思われていた米国のサブプライムローン破綻を発端に世界規模での金融不安が生じ、その大波は簡単に静まりそうにもありません。これらの動きを見るに付け改めて感じるのはやはり実態の無い経済は危険であるということ、そして日本は実態のある経済基盤として他国には無い魅力のある創造物を産業として持たなければならないということです。
当センターではマイクロマシン・MEMS等のマイクロナノ分野に係る基盤技術の確立を図り、MEMS産業の一層の発展を支援し、ひいてはわが国産業の国際競争力強化や豊かな未来社会の創造に貢献するため種々の活動を展開しております。
昨年における当センターの活動をトピックスで振り返って見ますと、まず研究開発においては、「異分野融合型次世代デバイス製造技術開発プロジェクト」(通称BEANS:Bio
Electro-mechanical Autonomous Nano Systems)がスタートしました。当プロジェクトは今後5年間の計画で第三世代MEMSデバイス創出に必要な基盤的技術を開発するもので、18企業、12大学、2研究所、3団体が参画・推進する産学官連携の一大プロジェクトであり、「融合」と「オープン」をキーワードに従来にない研究マネージメント体制を整備し、経済産業省が提唱するイノベーションスーパーハイウェイ構想を実現するものです。第三世代MEMSデバイスは、従来の応用分野に加えて環境・エネルギー、安心・安全、健康・医療など幅広い分野での応用を目指すもので、わが国の多分野にわたる産業を支える新たなデバイス創出による市場の底上げと拡大が期待されます。
毎年恒例の総合イベント「マイクロナノ2008」は、7/29-8/1に東京ビッグサイトで開催され、来場者数は前回比で約13%増加の約1万4千人となり前回に引き続き最高記録を更新しました。このことからも当分野への多方面からの関心の高まりが裏付けられております。
MEMS分野の標準化推進事業関係では、MEMSの標準化を審議するIEC(国際電気標準化会議)/TC47(専門委員会47;半導体デバイス)のWG4が昨年6月にSC47F(分科委員会47F)に昇格するとともに日本が幹事国を取得しました。これにより、IECにおけるMEMSの標準化活動の自由度が増し活性化が図れる環境が整備されるとともに、日本が幹事国になったことで、日本主導の国際標準化活動を推進できる基盤を確保することができました。
また、広報関係では新たな試みとしてホームページ上で「MEMSモール」を開設しました。これはマイクロマシン・MEMS分野における各企業の活動紹介や新商品・新技術紹介を行うもので、当分野ビジネスの活性化を支援するものです。
当センターでは、以上紹介した事例の他にも様々な事業を推進し実績を上げておりますが、これもひとえに日頃の皆様のご活躍、ご支援、ご協力の賜物と感謝申し上げる次第です。
当センターでは、引き続きマイクロマシンとMEMSの基盤技術の確立と産業化を目指した事業を進めて参ります。皆様の一層のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、本年が皆様方にとって実り多い一年になりますよう心からお祈り申し上げて、新年のご挨拶とさせていただきます。
|
|
|