1.NTT2006報告
11月15日から17日まで米国・サンフランシスコで開催されたThe Fifth International Nanoimprint and
Nanoprint
会場のParc 55 Renaissance Hotel
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Technology Conference(NNT ‘06)に参加し、ファインMEMSの知識データベース整備事業における知識情報の収集を行った。
この会議は、ファインMEMSにおいても注目されているプロセス技術であるナノインプリントにフォーカスされた会議であり、日米欧の持ち回りで年1回開催されている。ポスターも含めて110件の発表があり、参加者は200名を超えた。地域別では、米国31件、欧州33件、日本24件、韓国13件となっている。開催地が米国であることを考慮すると、欧州の発表が目立つ。ナノインプリント技術は、CMOSプロセスおける32nm以降のリソグラフィー、HDDのパターンドメディア、更にはディスプレーの光学フィルムといった巨大市場をターゲットとして、プロセス技術、装置開発が活発化している。特に欧州では、NaPaプロジェクトというナノインプリントに特化した大型プロジェクトが進行中であり、装置も含めて戦略的な開発が行われている。米国は、Molecular
Imprints社が32nmノード以降を明確にターゲットとした開発を行っているのが目立つ。EUVやマスクレスリソグラフィーなど競合技術があり、スループットの向上が重要課題となっている。日本では、マスク、レジスト等の要素技術で各メーカが国際連携を進めており、NapaプロジェクトにおいてもMolecular
Imprint社においても、日本メーカの要素技術が主要な位置を占めている。日本からの発表では、日立の宮内氏が招待講演でバイオ、HDDメディアへの応用例を紹介した。同社は、会議に併設の展示ブースでシートナノインプリントおよび300mφウェーハの展示も行っており注目を集めた。これらの技術は大型ディスプレーの反射防止膜などの光学応用が1つのターゲットとなっているようである。韓国勢の発表もTFTも含めてディスプレー応用を目指したものが目立った。ナノインプリントの研究開発最前線では、MEMSは影が薄くなっているようだが、CMOSやディスプレーという巨大市場への応用を目的とした長期的な開発が始まっていることで、この技術自体は急速な高度化が期待できる。短期的にはMEMS応用が最も現実的であり、こうした開発の動向はファインMEMS開発において歓迎すべき傾向である。次回は、仏パリで開催予定である。
口頭発表会場 |
ポスター発表会場 |
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日立の展示ブースにて宮内氏 |
2.NANO SOLUTION 2006報告
11月27日から12月2日までドイツ・ケルンで開催されたNano Solution 2006に参加して欧州のマイクロ・ナノ技術の事業化に関する調査と、ウイーン大学を訪問してMEMS材料の評価技術の進捗状況を調査した。Nano
Solution 2006は今年で3年目の新しいコンファレンスで、今年度は参加企業が90社と昨年に比べて約1.5倍に増加した。参加人員はまだ500名程度と小さいが、コンファレンスの切り口を、技術よりマイクロ・ナノ分野を如何にしてビジネスとして成長させればいいのかについて検討すると言った特色のあるコンファレンスで今後の展開が注目される。従って展示のほとんどは技術展示ではなく「こんなものが出来たので応用してもらいた。」といったものであった。コンファレンスも同様に技術ではなく、マイクロ・ナノが事業分野として一般に良く知られているのか、今後の発展を期待されている事業分野と認識されているのか、実用に際してアスベストの様な毒性問題の解決は如何に為すべきか、事業として大きく発展させるためには製造プロセスを公開して毒性問題なども含めて隠すことなく公明正大な状況にしなければ一般には受け入れられない技術になりはしないのか、この場合特許やKnow
How 等などを如何に扱うべきかなどが話し合われていた。
マイクロ・ナノ技術は米国にかなり先行し、日本を含むアジアも力をいれており事業が発展してきているが、これに対して欧州は、技術よりむしろ対環境性など別の観点を切り口にした事業戦略の構築を目指しているのではないか。例えばISO9001や同じくISO14001のように、マイクロ・ナノ事業に技術や特許でなく、(欧州に都合の良い)別の枠をはめることを考えているのではと思った。
視聴した発表の中で、技術的なものと言えばAir-Bus Industryがジェット旅客機へのマイクロ・ナノ技術の応用を報告していた。たとえば垂直尾翼の付け根付近はとても落雷しやすく、塗装や金属板の傷みが激しいが、極めて細かな金属粒子(φ=10nm)を多量に含む塗料に変更すればメンテナンス期間を2倍にできると報告していた。
展示会場 |
12月1日にウイーン大学Prof. B Weissを訪問して、薄膜材料の特性評価試験に関する研究の技術調査を行った。この研究は微小試験片の標点に関するもので原理は次のようなものである。薄膜材料等の表面にレーザ光を当てると、反射光は結晶粒界の並び方に従って偏光するので、粒界と粒界の境界では偏光状態の変化が、光の強度変化となることで粒界を模様として見ることが出来る。ウイーン大学ではこの現象で現れるミクロな模様を試験片の標点に使うことで標点作りを行わないで試験片の変形を計測する方法を開発している。通常標点には、元々の材料の特性に影響を与えない柔らかな材料を用いることが好ましいが、ダレや高温時の変形など、注意しなければならないことが多いが、本方法ではこれらの問題が極めて明確に解決する。しかし、実際には粒界の模様を画像として認識するための高速FFT処理や、レーザ光のアライメントで模様が微妙に変化する等の課題は有るが、薄膜材料等の微小材料の特性計測評価に関して極めて応用範囲の広い研究と考えられ、既に高温環境下における試験などでは効果を高いと考えられる。
3.MemsONE評価版(α版)配布始まる
3ヶ年の委託事業「MEMS用設計・解析支援システム開発」プロジェクト(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技
配布のDVDディスク |
術開発機構)委託事業)で開発したMEMS用設計・解析ソフトの評価版(α版)を11月からリリース開始しました。11月末日時点で約250件(ライセンスベースでは600件)の引き合いが有り、順次配布を開始しています。
α版利用者の評価結果を参考にして改良を加え、プロジェクト開発課題全部を搭載した普及版(β版)を平成19年5月にリリースする予定です。α版を試用したユーザの方々からのコメントを取り込んで、使い易いシステムの完成を推進いたします。α版を受け取られた方は試用アンケートへのご協力をぜひともよろしくお願いいたします。
1.「ナノテク2007」にMEMS関連プロジェクトを出展予定(H19年2月21日~23日)
平成19年2月21日(水)から23日(金)まで東京ビッグサイトにて開催されるナノテク2007に当センターからプロジェクト2件を出展予定です。
ナノテクノロジー関連で国内最大のイベントであるナノテク2007にはNEDO技術開発機構のプロジェクトブース内において、「MRMS用設計・解析支援システム開発(MemsONE)」と「高集積・複合MEMS製造技術開発(ファインMEMS)」の2件を出展し、MEMS技術に関する取り組みの全体像を展示する他、特にMemsONEについては来春の開発成果としてのβ版のリリースに向けたアッピールをする予定です。これらの出展により、電気・電子系、機械系の他、化学系やバイオ系の研究者、技術者に対して、ナノテクノロジーとMEMSとの融合により、より高度なMEMSデバイス・プロセス技術への展開、ナノテクノロジーの事業化発現の基盤としてのMEMS技術展開等の情報提供をしていく所存です。
2.第8回MEMS講習会の開催(H19年1月19日)
当センターファンドリーサービス産業委員会では、MEMS産業の裾野を広げ、その発展を促進するために初心者・中級者を対象に6回、中級者・上級者を対象に1回のMEMS講習会を開催してきましたが、今回は初心者・中級者向けに下記のとおり第8回MEMS講習会「MEMSの設計・加工技術と応用例」を九州地方で始めて(財)北九州産業学術推進機構と共催で開催いたします。積極的なご参加をお願い致します。
第8回MEMS講習会「MEMSの設計・加工技術と応用例」(初心者・中級者向け)
◇日時:2007年1月19日(金)13:00~17:50~19:00
◇場所:(財)北九州産業学術推進機構 会議室
〒808-0135 北九州市若松区ひびきの 2-1
◇主催:財団法人マイクロマシンセンター
ファンドリーサービス産業委員会
◇共催:財団法人北九州産業学術推進機構
◇参加費:8,000円 ◇定 員:100名
◇申込み:下記ホームページからお願いします。
http://fsic.mmc.or.jp/mems-koshu/koshu-8/koshu-8.html
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ プログラム ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
13:00 主催者挨拶
青柳 桂一 (財団法人マイクロマシンセンター 専務理事)
13:10 共催者挨拶
三木 昌義 (財団法人北九州産業学術推進機構 専務理事)
13:20 MEMSの集積・融合の進展と新産業創出への期待
杉山 進 (立命館大学理工学部 教授)
14:20 RF MEMSの設計技術
成瀬 浩司 (オムロン(株) 技術本部 先端デバイス研究所 主事)
14:55 ナノインプリントプロセス技術
高橋 正春 ((独) 産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門
グループ長)
15:30~16:00
技術相談会(各社パネル展示説明)及び休憩
16:00 MEMS応用例(1) 光MEMS技術の現状と今後の動向
澤田 廉士 (九州大学大学院 工学研究院 知能機械システム部門 教授)
16:45 MEMS応用例(2) 水晶MEMSの実用化検討
植田 敏嗣 (早稲田大学大学院 情報生産システム研究科 教授)
17:30 ファンドリーサービス産業委員会活動紹介
富井 和志 (松下電工(株) 微細プロセス開発センター
MEMSファンドリーサービス主担当)
17:50~18:00 休 憩
18:00~19:00 懇談会
1.経済政策動向
■月例経済報告(11月29日)
11月の月例報告では、景気の基調判断について「景気は、消費者に弱さがみられるものの、回復している。」との判断。先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。としている
○月例経済報告関係資料 http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei.html
■経済産業省の主な経済指標(11月29日)
経済産業省は各種経済指標を取りまとめた資料を発表。たとえば、鉱工業指数に関しては、「10月(速報値)の生産は前月比1.6%と2ヶ月ぶりの上昇、出荷は同1.3%と2ヶ月ぶりの上昇、在庫は同0.8%と3ヶ月連続の上昇、在庫率は同▲0.5%と2ヶ月ぶりの低下。」と分析している。
[概要(PDF)] http://www.meti.go.jp/statistics/downloadfiles/omonakeikishihyo.pdf
[ダイジェスト] http://www.meti.go.jp/statistics/data/hshihyo01j.html
■経済成長戦略関連
国際競争力の強化と地域経済の活性化を二本柱とし、継続的に人口が減少するという逆風の下でも「新しい成長」が可能なことを示す「新経済成長戦略」に関連するこれまでの政策動向は以下の通り。
○経済成長戦略大綱のとりまとめについて (H18.7.6)
http://www.meti.go.jp/topic/data/e60713aj.html
7月6日の財政・経済一体改革会議において、「経済成長戦略大綱」が決定され、
公表されている。 本大綱は、人口減少が本格化する2015年度までの10年間に
取り組むべき施策について、経済産業省を中心としてとりまとめたもの。経済と
財政の一体的な改革を進めるに当たって、歳出・歳入一体改革と並ぶ車の両輪
として、政府・与党の最優先課題と位置づけられている。
○新経済成長戦略について (H18.6.9)
http://www.meti.go.jp/press/20060609004/20060609004.html
経済産業省は、「国際競争力の強化」と「地域経済の活性化」を二本柱とし、
継続的に人口が減少するという逆風の下でも「新しい成長」が可能なことを示す
「新経済成長戦略」をとりまとめ、6月9日にその内容を公表している。
○新産業創造戦略について (H17.6.13)
http://www.meti.go.jp/policy/economic_industrial/shin_sangyou.html
2.産業技術政策動向
■総合科学技術会議開催(11月21日)
第61回総合科学技術会議が11月21日開催され、議事は以下のとおり。
(1)平成19年度科学技術関係予算の編成に向けて
(2)世界トップレベルの研究拠点づくりについて
(3)平成18年度における大規模研究開発の事前評価について
(4)科学技術連携施策群の成果及び今後の課題と進め方(中間報告)について
(5)諮問第6号「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針の改正について」
(6)最近の科学技術動向
なお、配布された資料については、以下の総合科学技術会議(第61回)議事次第参照。
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu61/haihu-si61.html
また、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための第3期科学技術基本計画は本年3月28日に閣議決定されている。
[本文(PDF形式)] http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/honbun.pdf
[概要(PDF形式)] http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/gaiyo.pdf
[分野別推進戦略] http://www8.cao.go.jp/cstp/kihon3/bunyabetu.html
■経済産業省の産業技術政策全般
経済産業省では、イノベーションの創出を通じた我が国の産業技術力の強化に向け、民間企業などにおけるイノベーションを促進する環境整備を進めるとともに、国においても知的資源の充実のための様々な取り組みを進めている。関連資料は以下の通り。
○イノベーション・スーパーハイウェイ構想について
http://www.meti.go.jp/policy/innovation_policy/ishw.htm
○平成19年度産業技術関連予算要求の重点(発表資料 PDF 6ページ)
http://www.meti.go.jp/topic/downloadfiles/060825-9.pdf
○経済産業省の研究開発 「技術戦略マップ2006」
http://www.meti.go.jp/policy/kenkyu_kaihatu/main-toptrm2006.html
「技術戦略マップ2006」は昨年版の20分野から24分野に拡大。技術戦略マップは、新産業を創造していくために必要な技術目標や製品・サービスの需要を創造するための方策を示したもの。
■NEDO産業技術政策関連
○NEDO海外レポート989号 ITロボット特集(各国の取組状況)
[目次] http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/989/index.html
[一括ファイル(PDF形式) http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/989/989.pdf
○NEDO海外レポート990号 ライフサイエンス・バイオテクノロジー特集(各国の取組状況)
[目次] http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/990/index.html
[一括ファイル(PDF形式)] http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/990/990.pdf
ちょっと休憩・知ってますか?
―産総研・サイエンス・タウンの紹介―
豊かな社会実現のための様々な科学技術が、たいへんわかりやすく紹介されています。
例えば、「産業の発展のために」のコーナーでは、超微細インクジェット技術が紹介されていますので、
参考までにお知らせします。
http://www.aist.go.jp/aist_j/science_town/index.html
1.ロボット3団体合同賀詞交歓会のご案内
(社)日本ロボット工業会、(財)製造科学技術センターおよびトウセンター合同の新年賀詞交歓会が下記のとおり開催されます。
賛助会員の連絡窓口担当者、運営委員会委員およびMEMS協議会会員の連絡窓口担当者の方々には、既に出席予定者の調査依頼を御願いしております。また、賛助会員の代表者、理事、各種委員会委員の方々には、個別にご案内申し上げております。
年初ご多忙のことと存じますが、万障お繰り合わせの上ご来臨賜りますようご案内申し上げます。
日 時 : 平成19年1月17日(水)
12:00~13:30
場 所 : 虎ノ門パストラル
新館1階 鳳凰の間
Tel:03-3432-7261
開催場所:http://www.pastoral.or.jp/access/index.php
2.年末・年始休日のお知らせ
当センターの年末・年始休日は次のとおりです。
平成18年12月29日(金)~平成19年1月3日(水)
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