1 平成21年MMC・BEANS十大ニュース
輝ける2010年の新春を迎えました。本年もよろしくお願い申し上げます。
一昨年のリーマンショック、昨年のドバイショックと世界経済の混迷は長期化し、わが国経済にも大きな影響を与えております。また、外交的に日米同盟のゆらぎが見え始めたとか、一般会計予算の概算要求額および赤字国債発行額が過去最大に達したとか難問山積の状況です。ただ、最近のアジア経済の復調傾向もあって、今年の展望は必ずしも悲観論一色でなくなってきたというのが救いとも言えようかと思います。
このような状況の中ですが、(財)マイクロマシンセンターでは、引き続き着実な活動を行っております。すなわち、わが国の力の源泉である「ものづくり力」強化に資するべく、「産業のマメ」といわれ製造業の発展に不可欠な基幹デバイスとなっているMEMSの技術開発、産業化を積極的に推進しております。国・NEDOプロジェクトに係る技術開発では、第3世代MEMS(BEANS)の基盤的なプロセス技術を開発する研究開発プロジェクトが2年目に入っており、BEANS研究所が立派な成果を挙げつつ研究開発を進めております。また産業化支援の面では、経済産業省が主導するつくばナノテク拠点形成事業と連動する形で、MEMS協議会が中心となり、先端MEMSの設計開発のためのグローバルな拠点づくりを目指して着々と検討を進めております。この他にも国際標準化活動、総合イベントマイクロナノ開催をはじめとする諸々の環境整備活動を展開してきております。
以下の十大ニュースをご覧いただき、このような我々の活動状況をご理解いただければ幸いです。
(1)BEANSプロジェクトの輝かしい成果出始める。
平成20年7月からスタートしたBEANSプロジェクト(異分野融合型次世代デバイス製造技術開発プロジェクト)も2年目にはいりました。初年度に重点を置きました実験装置や研究施設の立ち上げが功を奏し、平成21年度は研究開発が本格的に進展し始めた年となりました。新聞やTV,専門誌などに取り上げられたものはLife
BEANSでは「階層化された細胞組織の立体形成(人型組織)」、「マウスの光る耳」、Life BEANS九州では「有機高分子のナノ構造形成」、Macro
BEANSでは「繊維状基材へのナノ構造形成」などがありました。
7月29日~31日東京ビッグサイトで開催されたマイクロナノ2009での「第3回BEANSプロジェクトセミナー」は立ち見が出る大盛況でした。BEANSプロジェクトの展示ブースも国プロらしからぬ集客を狙った工夫がなされ、大盛況で多くの来場者の関心を集めました。
その他、昨年末までに特許出願は26件、外部発表は62件行いました。またBEANSプロジェクトでの知財の取扱いが産官学の参画する国家プロジェクトとしては従来になく新しい方向性を示すものとして注目を集めており、BEANSプロジェクトは多方面において影響力を発揮しつつあります。
マイクロマシン/MEMS展 BEANS-PJブース |
第3回BEANS-PJセミナー |
(2)ファインMEMSプロジェクト、優れた成果を生み出し終了
平成18年度からスタートしたファインMEMSプロジェクト(NEDO「高集積・複合MEMS製造技術開発プロジェクト」)が平成21年3月、3年間を無事終了しました。このプロジェクトは、これからの社会ニーズに対応すべく自動車、情報などの重要分野での必須デバイス第2世代MEMSの基盤技術を構築する目的で計画されました。
具体的には、わが国MEMS技術の潜在的な強みとさらなる補強という視点で①MEMS/ナノ機能結合、②MEMS/半導体一体形成、③MEMS/MEMS結合という3つの製造技術課題を厳選し、さらにそれらから得られた知識情報の集積というべき、④ファインMEMS知識データベースの整備も重要という視点でスタートしました。また、さらに昨今欧米の集積化MEMS開発動向に対し早急に取り組むべき課題としてMEMSと回路集積に重要となる、⑤ファインMEMSシステム化設計プラットフォーム研究開発が2年目に追加されました。
これらの各課題に取り組む参加団体は18団体で、先端的な技術課題乃至わが国に広く普及すべき課題として公的機関8団体(委託)、産業化に直接展開できる課題として民間企業8社(助成)、におよびます。
各テーマ毎にそれぞれの目標を凌駕するような成果が続々と生まれました。オンチップ型集積化MEMSはもとより、いろいろな視点でのZ方向への積層化MEMS群、それに不可欠な3次元的なインターポーザ、などの先進的な開発成果が行われました。また、自己組織化を活用した大規模実装や、極限的なトップダウン技術としてのナノ機能の取り込み、ボトムアップとの融合を予言するようなCNT
MEMSなど先駆的な研究成 果が生まれました。
当センターとしても、NEDO技術開発機構のプロジェクトの管理を支援したほか、受託事業である目標を大幅にクリアーするデータ量を集積した「ファインMEMS知識データベース」とさまざまなMEMSデバイスを電気等価回路に置き換え周辺電気回路との親和性の高い設計を可能とした「MEMS等価回路ジェネレータ」を完成させホームページ(http://www.mmc.or.jp)を通じてWeb上でリリースいたしました。
これらの成果は、マイクロナノ2009イベントの一環として成果発表会(主催:独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、後援:経済産業省)として一般に披露いたしました。プロジェクトリーダの東京大学大学院情報理工学系研究科長下山勲教授からの「ファインMEMSプロジェクトの概要」を皮切りに、委託事業の全9テーマ、助成事業の全8テーマの研究開発成果について各テーマの開発担当者から詳細に報告され、活発な討論が行われました。200人ほどが入る会場が満席となり、さらに発表会予稿集も準備した400部が無くなるほどの盛況ぶりでした。併設の「NEDOファインMEMSプロジェクト」ブースへの来訪者も多く、成果発表会の成果詳細等を議論する場として、こちらも大いに盛り上がりを見せていました。発表会及び展示の終始熱気に包まれた会場の雰囲気からは、本プロジェクトの成果の対する関心が極めて高く、成果を製品化に活用した事例、新たな協力関係が多く生み出されることが期待されます。
現在第3世代としてBEANSプロジェクトを実施中であり、これら第2世代MEMSとしてのファインMEMSの成果を踏まえ、わが国MEMS関連産業のさらなる活性化、拡大に向け積極的な活動を進めてまいります。
(3)つくばナノテク拠点 N-MEMS 実現に向けて進展
つくばナノテク拠点N-MEMSは、個別企業では困難な大規模設備投資による最先端研究の推進、MEMSアプリケーション開拓のための設計・試作機能の強化などを目指して、拠点形成しようというものです。
6月の最高運営会議の発足や、経産省による継続的なワークショップ開催など、気運は盛り上がっています。当センターは、拠点形成を中心的に推進すべく、戦略や組織などの原案を検討しています。
BEANSプロジェクトや、補正予算および来年度予算に向けて提案しているGMEMS(高機能センサーネットワーク、低環境負荷製造プロセス)の研究組織は、ナノテク拠点N-MEMSのベースとなると位置付けています。上記の最先端研究開発、設計・試作機能に人材育成も加えて、大きく3つの機能・サービスを柱とする「MEMS/Nanoの知と経験の集積拠点」を構想しています。今後、日本の強みや特長を生かして、激化する国際競争に打ち勝つ戦略を提案し、拠点形成を現実化すべく、会員企業の協力も得ながら、検討を進めます 。
(4)MEMS国際標準化活動の着実な進展
わが国提案のMEMS薄膜材料疲労試験法が、国際規格(IEC 62047-6)として4月に発行されました。これは、日本発のMEMS関連国際規格としては、用語、薄膜引張試験法、同標準試験片に続いて4番目の規格となります。MEMSの実用性や安全性を確保するためには、それに用いられる各種薄膜材料の耐久性を的確に計測、評価し、それに基づいて、設計・製作を行うことが必要不可欠です。そのため、薄膜材料の耐久性を評価する疲労試験法の標準化が望まれていました。
当センターでは、2003~2005年度経済産業省及びNEDOからの委託により規格案を開発、2006年にIECへ提案し、規格化に向けたフォローを行ってきました。
また、IECでは新たに日本から提案した「共振振動による疲労加速試験法」と「MEMS構造体接着強度試験法」がNP(新業務項目提案)として承認され、審議がスタートしました。これらは経済産業省より受託して2009年3月に終了した「MEMSデバイス機構材料の特性計測評価方法に関する標準化」プロジェクトの成果として作成したものです。
今後提案する国際規格としては、現在開発中の「小型MEMSジャイロ」、「電子コンパス」に続いて「MEMS形状計測法」の標準化開発が2009年度からスタートしました。これは、経済産業省より受託を受け、神戸大学と共同で、長時間のウェットエッチングや深堀ドライエッチングにより製作する3次元のMEMS特有の形状(高さ、深さ、幅、テーパー角度、表面粗さ等)の表示法・測定法の標準の確立を目指すものです。
また国内規格としては、日本よりIECに提案して2008年8月に発行された国際規格「MEMS薄膜材料の引張り強さ試験法」及び「MEMS薄膜材料の標準試験片」が2009年3月にJIS規格(JIS
C5630-2、JIS C5630-3)として発行されました。
このように2009年もMEMS国際標準化は、着実に進展しました。今年もさらに戦略的・継続的な標準化活動を実施してまいります。
(5)マイクロナノ2009など展示会・イベントを盛大に開催
総合イベント マイクロナノ2009を、7月29日から31日の3日間、東京ビッグサイト東5ホールにて開催いたしました。
出展社数が昨年から3割減となりましたが、一方でナノインプリントやMEMSファウンドリの出展数増加があり、来場者数も昨年から約1割減に止まるなど、現在の厳しい経済環境下で大健闘したと評価しています。 同時開催プログラムもこれまでで最も多い8プログラムを用意しました。いずれも多くの聴講者を集め、関心の高さを伺わせました。
当センターブースでは、展示会20周年を記念して、当センター史上最大規模の展示を実施しました。トピックスとしては、「20周年特別企画ブース」を設け、本展示会が第1回「産業用マイクロマシン展」から世界有数の総合イベント「マイクロナノ2009」にまで成長してきた歴史を振り返る年表を作成し大型パネルでご案内いたしました。また、今回初めて試験的に実施した「MMCコンシェルジュ」は、展示会場内で目的の製品・技術を見つけるナビゲーションマップとして、実際にご活用いただき、その後開催された展示会に影響を与えました。
BEANSブースでも、今回BEANS研究所が総力を挙げて研究成果の展示を行いました。シンボルの豆とグリーンの色調でゾーニングされたブースは連日超満員で、熱心な質疑応答が行われました。来場された方々に「BEANS」というキーワードを深く印象付けることができた大成功の展示でした。
さらに、「2009国際ロボット展」が11月25日(水)から28日(土)の4日間にわたって、東京ビッグサイトにて、社団法人日本ロボット工業会と日刊工業新聞社の主催により開催され、当センターはMEMS技術とセンター活動の紹介をテーマに出展しました。MEMS技術をロボット関係者と一般の方々にご紹介するため、ロボットに関連の深いMEMS技術をパネル「MEMS-産業のマメ-」で紹介するとともに、センサMEMSの代表実用化例である加速度センサとジャイロ(角速度)センサによるモーションセンシングの動作を体験していただくコーナーを設けました。明るく見やすい展示ブースに500人近くの方々がお越しになり、MEMS技術が身近で役立っていること、もうすでにMEMSデバイスがポケットの中にも入りこんできていること:”MEMS in your pocket”を知っていただくことができました。
(6)海外アフィリエートとの活発な交流
海外アフィリエートとの交流は、日本からの情報発信、世界の最先端情報の収集に加え、つくばナノテク拠点形成におけるオープンイノベーションにつながるという意味があり、積極的に推進しています。
6月のグルノーブルでの第1回を経て、10月にはフランスCEA-LETIとの第2回共同ワークショップを産総研つくばで開催し、ロボットMEMSやセンサーネットワーク、集積化に関して相互理解を深めました。LETIとは継続して協業の可能性を探っています。
11月25日、台湾工業技術研究院(ITRI)が19番目の海外アフィリエートとなりました。同時に東大駒場において共同ワークショップを開催し、相互に理解を深めて今後の協業の可能性を探りました。
これらのほか、マイクロナノ2009における第15回国際シンポジウムでの海外研究所からの基調講演、米国BSACやMIG、ベルギーIMECとの情報交換を活発に推進しました。今後、カナダやオランダとの交流などの検討も進めています。これらの諸活動が、いずれ会員企業のビジネスにつながり、つくばナノテク拠点形成に資すると期待しています。
(7)ホームページ、ブログなどを通じた普及広報活動の拡大
当センターでは、従来から財団法人マイクロマシンセンターのホームページ(http://www.mmc.or.jp)や技術研究組合BEANS研究所のホームページ(http://beanspj.org/lab/index.html)、さらにMEMS協議会のマイクロナノネット等を活用して、インターネットによる情報提供活動を積極的に行っています。
今年は当センターのホームページに「MEMSPedia」を公開しました。昨年度終了したファインMEMSプロジェクトにおいて、高度MEMS開発・製造に係わる研究者・技術者の支援、裾野拡大を図ることを狙いとして「ファインMEMS知識データベース」と「MEMS等価回路ジェネレータ」を開発し、6月にその開発成果を「MEMSPedia」として公開しました。そのほかにも、「MEMSモール」において、参加対象を一般企業に拡大し、会費割引などのキャンペーンを実施してきました。また、MEMS用設計・解析支援システム「MemsONE」の普及促進を目指して、「MemsONEひろば」を通じてリリース・メンテ・情報交換を実施しております。
6月からブログ「MEMSの波(ブログニュース)」を開設し、速報性を重視した情報発信を開始しました。現在、当センターは、MEMS産業を支える基盤づくりのための活動に注力していますが、MEMSの大きな潮流に乗り、豊かな未来に到達できるように、日々の努力の積み重ねております。本ブログ「MEMSの波」では、このような当センターやMEMS協議会の活動状況を新しい波として迅速に情報発信していきます。
(技)BEANS研究所のホームページも改訂し、5つの研究拠点のページごとに、センター紹介、研究テーマ、コンタクト先に加えて、メンバー紹介、アクセス、研究成果へのリンクを張りました。
さらにブログ「BEANS成長ものがたり」に加えて、5月から、ブログ「BEANSてくのろじぃ」を立上げ、プロジェクト遂行に伴う研究開発成果(研究論文、プレス発表、特許出願など)を分かり易く一般に紹介するように致しました。
(8)技術研究組合BEANS研究所の発足
BEANSプロジェクトを2年目となる平成21年度から技術研究組合のもとで実施することになり、そのための技術研究組合が平成21年3月24日に設立されました。組合名称は「技術研究組合BEANS研究所」です。
設立経緯ですが、平成21年1月16日の関係者説明会(設立準備会)、2月3日の発起人会、2月20日の創立総会・理事会を経て組合員各社ご協力のもとに認可申請書を整えまして、3月6日には経済産業大臣に申請し、3月19日に認可が下り、24日に設立登記が完了しましたのでこの日が設立日となりました。また、同日付で開催されました臨時総会で平成21年度の事業計画・収支予算が承認され、スムーズに4月1日の事業開始となりました。
事業開始以降は、財団法人マイクロマシンセンターと力を合わせ、わが国MEMS産業の発展のために、車の両輪として頑張って参ります。組合の詳細については以下のホームページをご覧下さい。
http://www.beanspj.org/lab/index.html
(9)財団法人マイクロマシンセンター・技術研究組合BEANS研究所の理事長の交代
平成21年9月17日の理事会において、財団法人マイクロマシンセンター及び技術研究組合BEANS研究所の理事長が、「野間口 有」(三菱電機株式会社取締役)から、「作田 久男」(オムロン株式会社代表取締役社長)に交代になりました。
野間口前理事長におかれては、平成21年4月から独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)理事長として、産業技術の幅広い分野におけるさまざまな技術開発を総合的に行う日本最大級の研究機関の代表としてのますますのご活躍を祈念申し上げます。
また、財団法人マイクロマシンセンター及び技術研究組合BEANS研究所としましても、作田新理事長のもと、マイクロマシン・MEMS等マイクロナノ分野のより一層の発展に努めて参りますのでよろしくお願い致します。
作田新理事長の「年頭所感」については、以下のホームページをご覧下さい。
http://www.mmc.or.jp/whats/docs/newyear-comment/newyear-comment-h22.html
(10)人材育成事業の本格化に向けた取り組み
不況による足踏みはあるものの、長期的にMEMS産業が発展していくことは確実です。予想される2兆円の市場規模を支える人材育成は急務と考えられています。
平成21年度は関東経済産業局の助成を得て、産総研、北九州や関西地域の公的機関で実施されてきた人材育成事業を、平成22年度からマイクロマシンセンターを中心とした全国展開とすべく、新たなプログラムを検討してきました。これは「マイクロナノイノベータ人材育成プログラム(仮称)」として、これまでのカリキュラムを改良・再編、また新規科目も開発して、製造プロセスやデバイス設計の専門家に加え、技術シーズと顧客ニーズをつなげて商品化を推進できる人材の育成も目指して検討を進めているものです。
2 MEMS人材育成事業自立化・地域連携調査報告
「マイクロナノ量産技術と応用デバイス製造に関する新事業開拓イノベーション人材育成」事業は、教育拠点として(独)産業技術総合研究所、東京大学、兵庫県立大学、(財)新産業創造研究機構、(財)北九州産業学術推進機構、東京都産業技術研究センター、神奈川県産業技術センターでの3年間の教育カリキュラム開発・実証講座の結果をもとに、平成22年度からの開講(事業の自立化)を目指しています。
この人材育成講座の先行事例調査として1月5~6日の2日間、(財)鳥取県産業振興機構および鳥取県産業技術センターを訪問しました。
鳥取県では、「クリスタル・コリドール・コンセプト」と呼ぶ、液晶をベースとしたクラスター構想が進んでおり、液晶ディスプレイ関連産業における新技術・新製品を企画・開発できるような技術者を育成する教育カリキュラムを、平成18~19年度の経済産業省の産学連携中核人材育成事業として開発し、平成20年度から自立した事業として『鳥取発「液晶人材育成プログラム」』を実施しています。液晶ディスプレイ関連産業における中核人材育成の事業自立化までの経験や、講座運営における鳥取県・鳥取大学・鳥取県産業技術センター・協力企業との連携と役割分担、講座の体系、受講者募集の仕方、講座修了認定、運営費用等、マイクロナノ分野人材育成の先行事例として、大変参考になりました。
対応していただいた(財)鳥取県産業振興機構事務局次長の林俊一氏、液晶プログラムマネージャーの那須安宏氏、液晶関連産業人材養成サブコーディネーターの安田正和氏、鳥取県産業技術センター電子・有機素材研究所副所長の小谷章二氏、また今回の事例調査に同行していただきました神奈川県産業技術センター電子技術部主任研究員の安井学氏に御礼申し上げます。
3 ロボット三団体合同賀詞交歓会が盛況に終る
1月12日(火)12時から、(社)日本ロボット工業会、(財)製造科学技術センターおよび(財)マイクロマシンセンター(技術研究組合BEANS研究所)合同による「新年賀詞交歓会」が、東京プリンスホテル 2階「プロビデンスホール」にて開催されました。
当日は、足下の経済情勢が大変難しい中、また、寒い雨も降っておりましたが約370名余の出席があり、関係者の熱意が感じられる盛況の開催となりました。
また、本賀詞交歓会には、作田新理事長が出席され、マイクロマシン/MEMS関係者を始めとする多くの出席者と熱心に歓談されました。
会場風景 |
作田久男理事長との歓談 |
1 第14回MEMS講習会の開催案内(2010年2月5日)
マイクロマシンセンターでは、MEMS産業の裾野を広げ、その発展を促進するために、年2回MEMS講習会を開催しています。今回は、第14回MEMS講習会を関西地区にて開催いたします。
車載用・ゲーム用加速度・ジャイロセンサ、インクジェットプリンタヘッドやプロジェクタなど、マイクロマシン/MEMS技術応用製品は私たちの身の回りに普及してきておりますが、新規参入企業が新製品開発を目指す場合、試作開発手段の確保が重要な問題です。MEMSファンドリーがその需要に応える有効なサービス事業ですが、ファブレス企業が新製品プロトタイピングからパイロット生産試作という危険な谷を越えるためのサポート体制を確立することが全国的な課題となっております。
本講習会を新製品開発を志す技術者とファンドリー関連技術者相互交流の場にしたいと考えます。皆様の積極的なご参加をお願い致します。参加申し込みは、マイクロナノネット、ブログ等でご案内しております。
第14回MEMS講習会「MEMSの新技術(設計・加工・評価)と応用製品」
・開催日時:2010年2月5日(金)13:00~17:50~19:00
・開催場所:兵庫県民会館 会議室
〒 650-0011 神戸市中央区下山手通4-16-3
TEL: 078-321-2131 FAX: 078-321-2138
・参 加 費:一般 10,000円/MEMS協議会メンバー 8,000円
・問合せ先:〒101-0026 東京都千代田区神田佐久間河岸67 MBR99ビル 6階
財団法人マイクロマシンセンター 普及促進部(原田)
TEL 03-5835-1870, FAX 03-5835-1873
・プログラム
1. 主催者挨拶 (マイクロマシンセンター 専務理事 青柳桂一)
2. MEMSの集積・融合の進展と新産業創出への期待
(立命館大学 杉山 進 教授)
3. MEMSデバイスのマイクロナノ成形加工技術
(兵庫県立大学 服部 正 教授)
4. ファンドリーサービス産業委員会プレゼンテーション(加工技術と製品紹介)
(アルバック、オリンパス、産業技術総合研究所、パナソニック電工、
日立製作所、フジクラ)
5. 兵庫地区MEMS企業の技術紹介
(住友精密工業株式会社 太田 新吾 様)
(株式会社シリコンセンシングシステムズジャパン殿)
6. MEMSデバイスの高精度環境試験技術
(第一科学株式会社 武田 秀樹 様)
7. MEMSデバイスの信頼性に対する良品構造解析的アプローチ
(沖エンジニアリング株式会社 村原 大介 様)
8. ファンドリーサービス産業委員会プレゼンテーション(設計技術と製品紹介)
(日本ユニシス・エクセリューションズ、みずほ情報総研、数理システム、オムロン)
9. <技術相談会>
10. 懇談会 (7階、亀の間)
2 第20回マイクロナノ先端技術交流会の開催(2010年3月11日)
(財)マイクロマシンセンターでは、MEMS協議会の産学連携事業の一環として、賛助会員・MEMS協議会の専門家を対象に、マイクロナノ技術に関する各産業分野における先端技術への認識と理解を深め、マイクロナノ技術の普及啓発と産学の技術交流を図ることを目的として、「マイクロナノ先端技術交流会」を実施しています。
第20回のマイクロナノ先端技術交流会は、MEMSの新規アプリケーションを図るために「MEMSをどのように活用し、デバイス設計・解析・評価を行なうか」ということに焦点を当て、㈱テクノ・インテグレーション代表取締役の出川通氏、京都大学大学院工学研究科マイクロエンジニアリング専攻の土屋智由准教授を講師に迎え、下記のとおり開催いたします。
出川先生からは、MOT(Management of Technology)の視点から、MEMSのアプリケーションと開発・事業化の考え方、産学連携・企業連携などアライアンスの考え方などを事例などを交えてご講演いただき、土屋先生からは、高信頼高機能MEMSの実現に向けたデバイス設計・解析・評価として、電気等価回路を用いたMEMSの設計・解析と新たに開発した等価回路ジェネレータの紹介およびMEMS構造体の信頼性評価、特にシリコンの破壊と疲労についてご講演をいただきます。
【第20回マイクロナノ先端技術交流会】
◇開催日時:平成22年3月11日(木)13:30~17:00
(講師を囲む懇親会 17:15~19:00)
◇会 場:(財)マイクロマシンセンター「MMCテクノサロン」
東京都千代田区神田佐久間河岸71-3 柴田ビル3階
◇参加費:一般 6、000円 /MEMS協議会メンバー 2、000円
◇定 員:30名(定員になり次第、締切らせていただきます。)
◇問合せ先:〒101-0026東京都千代田区神田佐久間河岸67 MBR99ビル 6階
財団法人マイクロマシンセンター
マイクロナノ先端技術交流会担当(阿出川、酒向)
TEL 03-5835-1870、 FAX 03-5835-1873
開催案内については、MEMS協議会ホームページやマイクロナノExpressでもご案内しますので、皆様のご参加をお願いいたします。
3 マイクロナノ2010の開催案内(7月28日~30日)
マイクロナノテクノロジーの総合イベント:マイクロナノ2010を、7月28日~30日、東京ビッグサイトにて開催いたします。今回は従来のマイクロマシン/MEMS展に加え、市場拡大が期待されるサービスロボットに関する製造技術展:ROBOTECHを新規に同時開催する予定です。出展、参加のご検討をお願い致します。
<開催概要>
第21回マイクロマシン/MEMS展(マイクロナノ2010)
・ 開催日:2010年7月28日(水)~30日(金) 東京ビッグサイト 東ホール
u 同時開催展
・ROBOTECH 次世代ロボット製造技術展
u 同時開催カンファレンス
・第16回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム
・MEMS実装・パッケージングフォーラム
・日独マイクロナノ・ビジネスフォーラム
・BEANSプロジェクトセミナー
・MEMS協議会(MIF)フォーラム
・MEMS協議会産学連携ワークショップ
詳細は、http://www.micromachine.jp/にてご確認ください。
本項は、マイクロマシン/MEMSを取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。
1.「地球温暖化対策に係るロードマップ検討会」の設置
環境省は、12月17日、「地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ検討会」を設置しました。
我が国は、2020年までに温室効果ガスを1990年比25%削減する目標を掲げています。また、09年11月に日米両国首脳の間で合意された「気候変動交渉に関する日米共同メッセージ」において、2050年までに自らの排出量を80%削減することを目指すこととしています。
本検討会では、この目標達成のために、いつ、どのような対策・施策を実施していくことが必要かというロードマップを策定していく必要があります。この目標達成のために、専門的・技術的観点からの具体的な提案を行うことを目的として本検討会が設置されました。
この検討会では、全体検討会と4つのワーキング・グループ(自動車、住宅・建築物、地域づくり、エネルギー供給)から構成されます。
参考:http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=11917
2.アジア向けを中心に輸出が持ち直しの傾向
財務省は、12月21日、11月分の貿易統計(速報)を公表しました。
それによりますと、輸出は対前年同月に比べて6.2%の減少、輸入は同16.8%の減少となりました。その結果、差し引き約3700億円の黒字となりました。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が黒字となったのは10カ月連続となります。
ただ、輸出の下落率は、対前年比で10月が23.2%の下落で会ったことに比べますと、大幅に改善されました。このうち、アジア向けの輸出が好調で対前年比4.7%の増となりました。なかでも、中国向けの輸出は同7.8%の増となっています。
参考:http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2009_11.pdf
3.月例経済報告(平成21年12月22日)
内閣府は、12月22日に月例経済報告を発表しました。
12月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、持ち直してきているが、自立性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
先行きについては、当面、厳しい雇用情勢が続くとみられるものの、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。
一方、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレや金融資本市場の変動の影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある」としています。
政府は、家計の支援により、個人消費を拡大するとともに、新たな分野で産業と雇用を生み出し、日本経済を自律的な回復軌道に乗せ、内需を中心とした安定的な経済成長を実現するよう政策運営を行う。このため、「緊急雇用対策」を推進することとし、また、①現下の経済・雇用情勢への「緊急対応」、②「成長戦略への布石」の2つの視点に基づき、「雇用」、「環境」、「景気」を主な柱とする「明日への安心と成長のための緊急経済対策」を、12月8日、閣議決定したとしています。
また、日本銀行に対しては、政府の取り組みと整合的なものになるよう、適切かつ機動的な金融政策運営によって経済を下支えするよう期待するとしています。
参考:http://www5.cao.go.jp/keizai3/2009/1222getsurei/main.pdf
4.景況判断指数、マイナスへ
内閣府と財務省は、12月24日、10~12月期の法人企業景気予測調査の結果を発表しました。調査は11月25日時点のものです。
それによりますと、10~12月期における、大企業の景況判断指数(上昇と答えた企業と下降と答えた企業の割合の差)はマイナス1.9で、7~9月期のプラス0.3から悪化しました。また、2010年1~3月期の見通しはマイナス3.5、4~6月期の見通しはプラス0.1となっています。
10~12月期において、中堅企業の景況判断指数はマイナス15.1、中小企業ではマイナス30.1となっています。
参考:http://www.mof.go.jp/bos/1c2103.pdf
5.11月の完全失業率は5.2%、前月より0.1%悪化
総務省は、12月25日、11月の完全失業率を発表しました。
それによりますと、11月の完全失業率(季節調整値)は5.2%であり、前月に比べて0.1%上昇しました。完全失業率は7月には5.7%まで上昇しましたが、その後3カ月連続して下落していました。4か月ぶりに上昇したことになります。
また、同日、厚生労働省は11月の有効求人倍率を発表しました。11月の有効求人倍率(季節調整値)は0.45倍で、前月に比べて0.01%上昇しました。これで、有効求人倍率の上昇は3カ月連続となり、この面で見ますと雇用情勢は若干改善されているといえましょう。11月の新規求人を産業別に見ますと、対前年同月比で比べますと減少しているものが目立ちます。例えば、情報通信業は36.1%減、宿泊業・飲食サービス業は25%減、製造業が14.1%減等となっています。増えている業種は、農業が30%、公務が43%等となっています。
参考:http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/05400.pdf
URL2
6.経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査 平成21年11月速報分 平成21年12月28日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。概要は以下の通りです。
-生産は持ち直しの動きで推移―
・今月は、生産、出荷、在庫が上昇、在庫率は低下であった。
・製造工業生産予測調査によると、12月1月とも上昇を予測している。
・総じて見れば、生産は持ち直しの動きで推移している。
11月の生産・出荷・在庫動向
1)生産
11月の生産は、前月比2.6%の上昇と9か月連続の上昇(前年同月比は▲3.9%の低下)となり、指数水準は88.3(季節調整済)となった。生産の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、一般機械工業、その他工業等であった。品目別にみると、普通乗用車、小型乗用車、駆動伝導・操縦装置部品の順に上昇に寄与している。
2)出荷
11月の出荷は、前月比0.9%の上昇9か月連続の上昇(前年同月比は▲3.1%の低下)となり、指数水準は 89.6(季節調整済)となった。出荷の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、鉄鋼業、一般機械工業等であった。
3)在庫
11月の在庫は、前月比0.2%の上昇と3カ月ぶりの上昇(前年同月比は▲3.1%の低下)となり、指数水準 89.6(季節調整済み)となった。在庫の上昇に寄与した業種は、情報通信機械工業、化学工業、輸送機械工業等であった。
10月の在庫率は、前月比▲3.8%の低下(前年同月比は▲9.5%の低下)となり、指数水準は112.8(季節調整済み)となった。
○製造工業予測調査
製造工業生産予測調査によると、12月は前月比3.4%の上昇、1月は同1.3%の上昇であった。12月の上昇は、鉄鋼業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業等により、1月の上昇は、一般機械工業、輸送機械工業、情報通信機械工業等による。11月の実現率は▲0.2%、12月の予測修正率は2.2%となった。
参考:http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
7.平成22年度の成長率を1.4%と予想
政府は、12月25日、「平成22年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議了解しました。
それによりますと、来年度の実質経済成長率は1.4%と予想しています。名目成長率は0.4%の予想です。名目成長率は物価の下落圧力が強いことからゼロ%台に留まりました。
10年度の完全失業率は5.3%程度と高止まることが予想されています。ただ、雇用者数は対前年比0.3%の増加と3年ぶりに穏やかな増加に転じると予想しています。
また、物価については、穏やかなデフレ傾向が続き消費者物価は0.8%程度の低下になるものと予想しています。
参考:http://www5.cao.go.jp/keizai1/2009/0225mitoshi.pdf
8.新成長戦略の策定
政府は、12月30日の臨時閣議で、新成長戦略の基本方針「輝きのある日本へ」を決定しました。
戦略では、2020年までの平均でGDPを名目で3%、実質で2%を上回る成長としました。これにより、名目GDPを2009年度の473兆円から2020年度には650兆円程度としています。政府の成長目標で、GDPを「実質」ではなく「名目」で記述することは珍しいと言えます。
これを具体化するため、政府は、2010年の6月頃までに「新成長戦略」の最終とりまとめを行うとしています。
また、具体策として、①日本の強みを生かした成長として、「環境・エネルギー」「健康(医療・介護)」②フロンティアの開拓による成長として、「アジア」「観光・地域活性化」③成長を支えるプラットフォームとして、「科学・技術」「雇用・人材」を挙げています。
参考:URL
9.地球温暖化対策での経済産業省と国土交通省の連携強化
経済産業省及び国土交通省は、地球温暖化・エネルギー関連の施策で連携を強化することに合意し、12月25日、第2回の合同ワーキングチームを開催し、短期的取り組みと中長期的取り組みを整理した中間とりまとめを行いました。
・自動車交通部門では、燃費向上、環境対策車の普及等の対策が挙げられています。
・物流部門では、グリーン物流パートナーシップ会議の取り組みの拡充等が挙げられています。
・民生部門では、住宅・建築物の省エネ化の一層の普及促進・基準強化等が挙げられています。
・建設部門では、ハイブリッド建設機械等の普及などが挙げられています。
・エコタウン・スマートコミュニティ部門では、市街地整備と一体となったエネルギーの面的な利用の促進、下水道対策等が挙げられています。
参考:http://www.meti.go.jp/topic/downloadfiles/091225aj.pdf
10.平成21年11月の消費者物価、10月よりさらに下落
政府は、12月25日、11月分の消費者物価指数を発表しました。
それによりますと、総合指数は、平成17年を100として99.8となり、前月比は0.2%の下落、前年同月比は1.9%の下落となりました。前年同月比でマイナスは10カ月連続となります。
生鮮食品を除く総合指数は99.9となり、前月比は0.2%の下落、前年同月比は1.7%の下落となります。また、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア)は98.5となり、前月比は0.1%の下落、前年同月比は1.0%の下落となりました。
物価の下落は、依然として続いています。
参考:http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
1.財団法人マイクロマシンセンターの人事異動
平成22年1月1日付
(氏名) (新) (旧)
荒 川 雅 夫 採用(主任研究員) パナソニック電工株式会社
2.技術研究組合BEANS研究所の人事異動
平成21年12月1日付
(氏名) (新) (旧)
テイ エンケン 採用(研究員)
(ZHENG Yanqiong)
平成22年 1月1日付
(氏名) (新) (旧)
荒 川 雅 夫 採用(主幹研究員) パナソニック電工株式会社 |
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