マイクロマシン/MEMSを取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信します。
1、 日銀の短観、悪化
日銀は、12月15日、12月の企業短期経済観測調査(短観)結果を発表しました。日銀の短観は、4半期ごとに実施する企業に対するアンケート調査をまとめたものです。
それによりますと、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、2009年3月以来、7四半期ぶりに悪化しました。
例えば、大企業の製造業のDIで見ますと、全体では▲3ポイント悪化の5です。この内、自動車で▲11ポイント悪化の21、電気機械は▲12ポイント悪化の2、非鉄金属で▲11ポイント悪化の22等となっています。エコカー補助金の終了、エコポイント制度の縮小などの政策がこの結果となったと考えられます。
また、非製造業でも、大企業のDIは▲1ポイント悪化の1となっています。
参考:
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/tk/gaiyo/tka1012.pdf
2、 総務省、「光の道」構想に関する基本方針を決定
総務省は、12月14日、光ファイバーの促進のため、「光の道」に関する基本方針を決定しました。
基本方針の概要は以下の通りです。
①機能分離の実施、小会社等との一体経営への対応等については関係法律の改正案を次期通常国会に提出する。
②加入光ファイバ接続料については、その低廉化に向けた検討を早急に開始する。
③次世代ネットワーク(NGN)において実施すべきアンバンドル(細分化)機能・サービスやIP網への移行に伴う課題について速やかに検討の場を設けて、来年中を目途に成案を得る。
参考:
http://www.soumu.go.jp/main_content/000094806.pdf
3、月例経済報告(12月22日)
内閣府は、12月22日、月例経済報告を発表しました。
12月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、このところ足踏み状態となっている。また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。」としています。基調判断については、09年2月以来、10月に1年8カ月ぶりに下方修正しましたが、今回はその基調判断を3カ月連続で引き継いでいます。
「先行きについては、当面は弱めの動きも見られるものの、海外経済の改善や各種の政策の効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。
一方、海外景気の下振れ懸念や為替レート・株価の変動などにより、景気がさらに下押しされるリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である」としています。この表現も3カ月連続となっています。
また、「政府は、「新成長戦略」に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともにデフレを終結させるよう政策運営を行う。政府はデフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行う。」としています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2010/1222getsurei/main.pdf
4、平成23年度政府経済見通し、1.5%成長
政府は、12月22日、平成23年度の経済見通しを閣議了解しました。
それによりますと、23年度の経済成長を1.5%(実質)と見込んでいます。平成22年度の実績見通しを3.1%成長と見込んでいますので、この数字よりも下回ることになります。日銀が10月に出した23年度の成長見通しは1.8%ですので、ほぼ同程度の見通しとなります。
また、23年度の名目の成長率は1.0%成長と見込んでいます。完全失業率は4.7%程度としています。現在は5%を上回る水準ですので、この数字はこれを下回る水準です。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai1/2010/1222mitoshi.pdf
5、09年の日本のGDPは世界の8.7%に上昇
内閣府は、12月24日、「平成21年度国民経済計算確報」を公表しました。
それによりますと、日本の21年度の名目GDPは474兆円で前年度比▲3.7%の減少となりました。日本の名目GDPは2年連続しての減少となります。
国民一人当たりの名目GDPは39,530ドルであり、OECD(経済協力開発機構)加盟の34カ国中16位です。前年の19位から順位を上げましたが、これは円高によるものです。円建ての額は一人当たり372万円となり、前年より▲3.6%減少しています。
また、平成21年(暦年)の主要国の名目GDPの世界に占める割合を見ますと、日本は8.7%となり前年の8.0%より上昇しました。1位は米国で24.1%、3位は中国の8.6%、4位はドイツの5.7%です。
参考:
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h21-kaku/101224/point.pdf
6、11月の失業率、横ばい
総務省は、12月28日、11月の労働力調査の結果(速報値)を発表しました。
それによりますと、11月の完全失業率(季節調整値)は5.1%でした。これは、前月(10月)の失業率と同率です。年齢階級別に見ますと、15~24歳の完全失業率は8.7%であり、前月から0.3%悪化しています。
また、同日、厚生労働省は11月の求人倍率を発表しました。11月の有効求人倍率(季節調整値)は0.57倍となり、前月を0.01ポイント上回りました。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/05400.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000ylpg.html
7、経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査 2010年11月速報分 2010年12月28日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。11月分の概要は以下の通りです。
-生産は弱含みで推移―
・今月は、生産、出荷が上昇、在庫、在庫率は低下であった。
・製造工業生産予測調査によると、12月、1月とも上昇を予測している。
・総じて見れば、生産は弱含みで推移している。
11月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
11月の生産は、前月比1.0%の上昇と6カ月ぶりの上昇 (前年同月比は5.8%の上昇)となり、指数水準は91.18(季節調整済)となった。生産の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、その他工業等であった。品目別にみると、普通乗用車、携帯電話、駆動伝導・操縦装置部品の順に上昇に寄与している。
(2) 出荷
11月の出荷は、前月比2.5%の上昇と5カ月ぶりの上昇(前年同月比は8.0%の上昇)となり、指数水準は94.6 (季節調整済)となった。出荷の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、鉄鋼業、電子部品・デバイス工業等であった。
(3) 在庫
11月の在庫は、前月比▲1.7%の低下と2カ月連続の低下(前年同月比は2.0%の上昇)となり、指数水準は95.0(季節調整済み)となった。在庫の低下に寄与した業種は、情報通信機械工業、化学工業、鉄鋼業等であった。
11月の在庫率は、前月比▲8.2%の低下と3カ月ぶりの低下(前年同月比は▲6.3%の低下)となり、指数水準は108.2(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、12月は前月比3.4%の上昇、1月は同3.7%の上昇であった。12月の上昇は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業等により、1月の上昇は、輸送機械工業、一般機械工業、鉄鋼業等による。11月の実現率は0.5%、12月の予測修正率は2.4%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
8、消費者物価低下続く
総務省は、12月28日、11月分の消費者物価指数を発表しました。
11月の消費者物価指数(2005年=100)は、生鮮食料品を除く総合で99.4となり前年同月に比べて▲0.5%低下しました。これで21カ月連続の低下です。ただ、下落幅は前月に比べて0.1ポイント縮小しています。
生鮮食料品を含めた総合指数は、前年同月比で0.1%上昇しています。上昇は2カ月連続となります。
品目別で見ますと、タバコが前年同月比で39%の上昇、生鮮野菜が同28%の上昇等となっています。下落した主なものは、授業料等が同▲17%低下、家庭用耐久財が▲9%の低下、教養娯楽用耐久財が同▲19%の低下等となっています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
9、ウルグアイの地上デジタル、日本方式を採用
ウルグアイは、12月27日、同国の地上デジタルテレビ放送方式の規格として、日本方式(ISDB-T方式)の採用を決定したと公表しました。
同国は、2007年8月に欧州方式の採用を決定・公表していましたが、南米諸国で日本方式の採用が相次いだことを受け、日本方式に変更したものです。
これで、海外で日本方式を採用したのは、ブラジル、ペルー、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、エクアドル、パラグアイ、フィリピン、ボリビアに続いて11カ国目になります。
参考:
http://www.meti.go.jp/press/20101228007/20101228007.pdf
10、加入電話の契約数、減少が続く
総務省は、12月28日、平成22年度第2四半期(9月末))の電気通信サービスの契約数及びシェアに関する4半期データの公表を行いました。今回発表のデータは、22年9月末のものです。
それによりますと、加入電話の契約数は5,762万で対前期比0.2%減少しています。一方、IP電話の利用番号数は2,428万であり対前期比2.4%増加となっています。
移動体通信の契約数は、1億1,918万で対前期比1.3%増と増加が続いています。また、ブロードバンドサービスの契約数は3,402万で対前期比1.3%増と増加が続いています。この内、FTTH(光通信)の契約数は1,912万で対前期比3.0%増とこれも増加が続いています。
参考:
http://www.soumu.go.jp/main_content/000096907.pdf