マイクロマシン/MEMSを取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信します。
1.世界経済、2010年は3.9%成長
世界銀行は、1月12日、2010年の世界経済の実質成長率は3.9%となったと発表しました。この数字は昨年6月に公表した予測(3.1~3.3%)を上回っています。
また、併せて2011年及び2012年の予測も公表しました。
2011年は3.3%成長と予測しています。この内、高所得国は2.4%、途上国は6.0%の成長と予測しています。2010年は、高所得国の成長率が2.8%、途上国の成長率が7.0%ですので、2011年はいずれも下回っています。
2012年の成長予測は3.6%と予測しています。この内、高所得国が2.7%、途上国が6.1%の成長と予測しています。
参考:
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2.11月の機械受注、前月比3%減
内閣府は、1月13日、2010年11月の機械受注実績を公表しました。
11月の機械受注実績は、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」で7,230億円となり、対前月比で3.0%減少しました。これは3カ月連続で対前月比が減となる数字です。この内、製造業は10.6%増ですが、非製造業(船舶・電力を除く)が10.5%の減となっています。
増加した主な業種は、情報通信機器(+78%)、精密機器(+45%)、化学工業(+35%)等となっています。一方、受注額が減少した主な業種は、鉱業(▲65%)、リース業(▲23%)、運輸業(▲32%)等となっています。
また、受注総額でも対前月比で8.3%減となりました。外需が17.8%減少したのが目立っています。
参考:
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/1011juchu.html
3.月例経済報告(1月21日)
内閣府は、1月21日、月例経済報告を発表しました。
1月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、足踏み状態にあるが、一部に持ち直しに向けた動きがみられる。ただし失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。」としています。基調判断については、前月の「足踏み状態となっている」から上方修正しましたが、基調判断を上方修正するのは7カ月ぶりとなります。
「先行きについては、当面は弱さが残ると見られるものの、海外経済の改善や各種の政策の効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。
一方、海外景気の下振れ懸念や為替レート・株価の変動などにより、景気がさらに下押しされるリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である」としています。この表現は4カ月連続となっています。
また、「政府は、「新成長戦略」に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともにデフレを終結させるよう政策運営を行う。政府はデフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行う。」としています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2011/0121getsurei/main.pdf
4.日銀、10年度の成長率見通しを上方修正
日銀は、1月25日、金融政策決定会議を開き、10年度の成長見通しを上方修正しました。
2010年10月に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の中間評価では10年度のGDP(国内総生産)の成長見通しを2.1%としていましたが、今回は3.3%に上方修正しました。
ただ、11年度の成長率は昨年10月見通しでは1.8%成長と予測していましたが、今回は1.6%と下方修正しています。また、12年度の成長率も0.1%下方修正し2.0%としました。
また、消費者物価も上方修正しています。昨年10月の展望リポートでは10年度の消費者物価指数(除く生鮮食料品)をマイナス▲0.4%と予想していましたが、今回はマイナス▲0.3%と上方修正しています。
参考:
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc11/k110125.pdf
5.2010年の世界の失業率は下降
ILO(国際労働機関)は、1月25日、2010年末の世界の失業率を発表しました。
それによりますと、10年末の世界の失業率は6.2%であり、前年より0.1%低い数字となりました。また、2011年末には10年から低下し6.1%になると予想しています。
10年末の失業率を地域別に見ますと、先進国・EUの失業率は8.8%で対前年比+0.4%、中国を含む東アジアは4.1%で対前年比マイナス0.3%、東南アジア・太平洋諸国は5.1%で同マイナス0.1%、南アジアは4.3%で同マイナス0.1%等となっています。
参考:
URL1 URL2
6.IMF、世界の成長率を上方修正
IMF(世界通貨基金)は、1月25日、世界経済見通し(アウトルック)の見直し結果を公表しました。
それによりますと、2011年の世界の実質経済成長率を4.4%としましたこれは、前回2010年10月の見通しを0.2%上方修正したものです。ただ、2009年の成長率5.0%は下回っています。
この内、先進国の11年の成長率は2.5%(前回10月の予測より0.3%上方修正)、途上国の成長率は6.5%(同0.1%上方修正)としています。
11年の成長率予測を国別に見ますと、米国が3.0%(同0.7%上方修正)、日本が1.6%(同0.1%上方修正)、ユーロ圏が1.5%(同変化なし)、中国が9.6%(同変化なし)、インドが8.4%(同変化なし)等となっています。
また、12年の成長率の予測は4.5%であり前回の予測と同じとなっています。
参考:
http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2011/update/01/index.htm
7.10年の貿易黒字、大幅増
財務省は、1月27日、2010年の貿易統計(速報)を発表しました。
それによりますと、10年の貿易黒字は6.8兆円であり対前年比で2.5倍の黒字となりました。
輸出額は対前年比24%増の67.4兆円でした。また、輸入額は対前年比18%増の60.6兆円です。
輸出額で増加した主な品目は、自動車(+37%)、自動車の部分品(+34%)、鉄鋼(+27%)等となっています。輸入額で増加した主な品目は、原粗油(+24%)、液化天然ガス(+22%)、非鉄金属(+59%)等となっています。
輸出を地域別で見ますと、中国向けの輸出額が13.1兆円(+28%)、アメリカが10.4兆円(19%)となっています。中国向けの輸出がアメリカ向けを上回ったのは2年連続となります。輸入でみますと、中国が13.4兆円(+17%)、アメリカが5.9兆円(+7%)等となっています。
参考:
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2010.pdf
8.12月の完全失業率、改善
総務省は、1月28日、2010年12月の労働力調査(速報)の結果を発表しました。
12月の完全失業率は4.9%であり、前月比で0.2%改善しました。改善は3カ月ぶりです。年齢別では、15~24歳の完全失業率は7.5%であり、対前年同月比で0.9%改善したことが目立っています。
併せて2010年平均の失業率も発表しました。2010年平均の失業率は5.1%であり前年と同率でした。
また、同日、労働省は2010年12月の有効求人倍率も発表しました。同月の有効求人倍率は0.57倍となり前月と同じ水準です。併せて2010年平均の有効求人倍率も発表しました。年平均の有効求人倍率は0.52倍で、前年に比べて0.05ポイント上昇しています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/05400.pdf
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/youyaku.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000zu5i-img/2r9852000000zuas.pdf
9.経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査 2010年12月速報分 2011年1月31日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。12月分の概要(速報)は以下の通りです。
-持ち直しの動きがみられる鉱工業生産―
・今月は、生産、出荷、在庫が上昇、在庫率は横ばいであった。
・製造工業生産予測調査によると、1月上昇の後、2月は低下を予測している。
・総じて見れば、生産は持ち直しの動きがみられる。
12月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
12月の生産は、前月比3.1%の上昇と2カ月連続の上昇 (前年同月比は4.6%の上昇)となり、指数水準は94.6 (季節調整済)となった。生産の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、鉄鋼業等であった。品目別にみると、普通乗用車、固定コンデンサ、駆動伝導・操縦装置部品の順に上昇に寄与している。
(2) 出荷
12月の出荷は、前月比1.1%の上昇と2カ月連続の上昇(前年同月比は5.3%の上昇)となり、指数水準は95.7 (季節調整済)となった。出荷の上昇に寄与した業種は、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業、プラスチック製品工業等であった。
(3) 在庫
12月の在庫は、前月比1.4%の上昇と3カ月ぶりの上昇(前年同月比は3.4%の上昇)となり、指数水準は96.2(季節調整済み)となった。在庫の上昇に寄与した業種は、情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業、鉄鋼業等であった。
12月の在庫率は、前月比0.0%の横ばい(前年同月比は▲1.8%の低下)となり、指数水準は108.1(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、1月は前月比5.7%の上昇、2月は同▲1.2%の低下であった。1月の上昇は、輸送機械工業、一般機械工業、情報通信機械工業等により、2月の低下は、情報通信機械工業、輸送機械工業、電気機械工業等による。12月の実現率は▲0.2%、1月の予測修正率は1.7%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
10.国富、2年連続のマイナス
内閣府は、1月31日、2009年度の国民経済計算(確報)を発表しました。
それによりますと、国民が保有する資産から負債を差し引いた正味資産(国富)は、2009年度で2,712兆円でした。この数字は対前年度比▲3.4%のマイナスであり、2年連続のマイナスとなりました。
内訳を見ますと、土地の資産が対前年度比▲4.1%の1,208兆円となったことも大きな原因となっています。これに対して、対外純資産は対前年度比+18%の266兆円と過去最大となりました。
また、部門別の内訳を見ますと、国・地方を合わせた「一般政府」の正味資産が▲49兆円となり、統計を取り始めて以来初めてのマイナスとなりました。
一方「家計(個人企業を含む)」の状況を見ますと、資産残高が2,403兆円で対前年度比▲0.9%のマイナスとなっています。これは主として、保有する土地の資産が対前年度比▲4.2%のマイナスの950兆円となったことが原因です。家計の金融資産は+2.0%の1,453兆円と増加しています。
参考:
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h21-kaku/110131/point.pdf
11.2010年の労働者の給与、4年ぶり増加
厚生労働省は、2月1日、「毎月勤労統計調査」の平成22年分の結果を公表しました。
それによりますと、2010年の労働者一人当たりの月間給与総額は31.7万円であり対前年比0.5%の増加となりました。対前年比で増加するのは平成18年以来4年ぶりとなります。
これは、残業代などの所定外給与が対前年比9.1%増の1.8万円となったことが大きな要因です。所定内給与は対前年比▲0.2%減と低迷しています。
労働時間も増加し、対前比1.4%増の月146.2時間となりました。プラスになるのは4年ぶりです。
また、「常用労働者」数は4,414万人と対前年比0.3%の増加となっています。これは7年連続の増加です。
参考:
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/22/22p/dl/pdf2222p.pdf