マイクロマシン/MEMSを取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信します。
1、月例経済報告(7月13日)
内閣府は、7月13日、月例経済報告を発表しました。
7月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にある中で、このところ上向きの動きがみられる。」としています。基調判断については、6月には4か月ぶりに上方修正しましたが、7月の報告では6月の判断を引き継いでいます。
「先行きについては、サプライチェーンの立て直しが進み、生産活動が回復していくに伴い、海外経済の穏やかな回復や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、電力供給の制約や原子力災害及び原油高の影響に加え、海外経済の回復がさらに穏やかになること等により、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である」としています。この記述も6月の記述を引き継いでいます。
また、「政府は、「政策推進指針」に基づき、大震災がもたらした制約を順次、確実に克服するとともに、日本経済の潜在的な成長力を回復するよう取り組む。このため、平成23年度第1次補正予算の速やかな執行等により、震災からの早期立ち直りを図る。日本銀行に対しては、引き続き政府と緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な対応によって経済を下支えするよう期待する」としています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2011/0713getsurei/main.pdf
2、IMF、2012年における日本の成長を予測
IMF(国際通貨基金は)、7月19日、日本に対する審査報告を公表しました。
それによりますと、日本の2011年のGDP(国内総生産)の伸びはマイナス▲0.7%であるものの、2012年には2.9%成長となるであろうと予測しました。
ただ、併せて、日本は財政再建を行う必要があるともしています。具体的には消費税率の上げを提言しています。2012年には5-8%の上げ、また、その後は15%の上げが必要としています。
参考:
URL
3、6月の貿易収支は黒字に転換
財務省は、6月21日、6月分の貿易統計(速報)を発表しました。
それによりますと、6月は707億円の貿易黒字でした。黒字になるのは3カ月ぶりとなります。この内、輸出は5.8兆円で対前年同月比▲1.6%の減少、輸入は5.7兆円で同+9.8%増となっています。
対前年比で輸出額が増加した主な品目は、鉱物性燃料(対前年同月比+87%)、金属加工機械(同+41%)です。逆に減少した主な品目は、自動車(同▲13%)、半導体等電子部品(同▲17%)、自動車の部分品(同▲10%)等となっています。
輸入額が増加した主な品目は原粗油(同+30%)、液化天然ガス(+35%)、石炭(+20%)等となっています。
参考:
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2011_06.pdf
4、2010年の平均寿命、女性は前年を下回る
厚生労働省は、7月27日、平成22年度の簡易生命表を発表しました。
それによりますと、2010年における日本人の平均寿命は、女性で86.39歳、男性で79.46歳となりました。平均寿命とは、その年生まれた0歳の子供が何年生きられるかの数字です。
女性は前年より平均寿命が0.05歳短くなり、男性は逆に0.05歳長くなりました。女性の平均寿命が前年より短くなるのは5年ぶりとなります。厚生労働省は、この原因として、昨年夏の猛暑で心疾患や肺炎で死亡する人が増えたことが原因の一つとしています。
参考:
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life10/01.html
5、経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査 2010年6月速報分 2011年7月29日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。6月分の概要(速報)は以下の通りです。
-回復しつつある鉱工業生産―
・今月は、生産、出荷が上昇、在庫、在庫率は低下であった。
・製造工業生産予測調査によると、7月、8月とも上昇を予測している。
・総じて見れば、生産は日本大震災の影響から回復しつつある。
6月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
6月の生産は、前月比3.9%の上昇と3カ月連続の上昇 (前年同月比は▲1.6%の低下)となり、指数水準は92.7 (季節調整済)となった。生産の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業等であった。品目別にみると、普通乗用車、アクティブ型液晶素子(大型)、普通トラックの順に上昇に寄与している。
(2) 出荷
6月の出荷は、前月比8.5%の上昇と2カ月連続の上昇 (前年同月比は▲1.5%の低下)となり、指数水準は94.6 (季節調整済)となった。出荷の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、情報通信機械工業、鉄鋼業等であった。
(3) 在庫
6月の在庫は、前月比▲2.8%の低下と2か月ぶりの低下(前年同月比は4.0%の上昇)となり、指数水準は100.8(季節調整済み)となった。在庫の低下に寄与した業種は、情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業等であった。
6月の在庫率は、前月比▲7.3%の低下と2カ月連続の低下(前年同月比は4.7%の上昇)となり、指数水準は111.9(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、7月は前月比2.2%の上昇、8月は同2.0%の上昇であった。7月の上昇は、情報通信機械工業、輸送機械工業、電気機械工業等により、8月の上昇は、一般機械工業、輸送機械工業、電気機械工業等による。6月の実現率は▲1.0%、7月の予測修正率は0.7%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
6、6月の失業率上昇
総務省は、7月29日、6月分の労働力調査の結果(速報)を公表しました。
それによりますと、6月の完全失業率は4.6%(季節調整値。岩手、宮城、福島を除く)であり前月に比べて0.1ポイント上昇しました。悪化するのは2カ月ぶりとなります。
主な産業別就業者を前年同月と比べますと、増加した業種は「医療、福祉」、「建設業」等となっています。逆に減少したのは、「宿泊業、飲食サービス業」等となっています。
また、厚生労働省は、同日、6月分の一般職業紹介の状況について発表しました。6月の有効求人倍率は0.63倍であり前月に比べて0.02ポイント上昇しました。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou2/tsuki/pdf/05400.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001jk7d.html
7、6月の実質消費支出前月に比べて増加
総務省は、7月29日、6月分の家計調査報告(速報)を発表しました。
それによりますと、2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり26.6万円であり、前年同月比で実質4.2%の減少となりました。前年同月を下回るのは9カ月連続となります。ただ、前月に比べますと実質0.8%増加しています。増加するのは2カ月ぶりとなります。
対前年比で減少した主な項目は、交通・通信(対前年同月比で実質▲11%減)、住居(同▲11%減)、教養娯楽(同▲5%減)等となっています。逆に増加した主な項目は、家具・家事用品(対前年同月比で実質9%増)等となっています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
8、6月の消費者物価指数、上昇
総務省は、7月29日、6月分の消費者物価指数を発表しました。
それによりますと、生鮮食料品を除く6月の消費者物価は前年同月比で0.4%上昇しました。対前年同月比で上昇するのは3カ月連続となります。ただ、対前月比では▲0.2ポイント低下しています。
総合でも、対前年同月比0.2%上昇となっています。対前同月比で上昇するのは3カ月連続となります。
対前年同月比で上昇した主な項目は、たばこ(+39%)、灯油(+18%)、ガソリン(+7%)等となっています。逆に下落した主な項目は、生鮮果物(▲10%下落)、家庭用耐久財(▲9%)等となっています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
9、大震災後の被災拠点の生産水準は回復基調
経済産業省は、8月1日、「東日本大震災後の産業実態緊急調査2」の結果を公表しました。
それによりますと、被災した生産拠点の80%が震災前の生産水準に戻っている又は震災前よりも上回る生産水準になっていると回答しました。また、震災前の水準を下回ると回答した拠点の7割以上が2011年内に震災前の生産水準に回復すると回答しています。
また、部品・部材の調達状況については、97%の製造業で既に代替調達先から調達を始めていると回答しています。代替調達先では中国地方、近畿地方などの西日本で代替調達を行うとの回答が多かったとしています。
ただ、小売・サービス業では6割近くが現在の売り上げは震災前と比べると減少していると回答しています。その原因として、自粛の影響があるとの回答が8割以上になっています。
参考:
URL
10、日・インド包括的経済連携協定が発効
8月1日、日・インド包括経済連携協定が発効しました。
この協定は、アジア第3位の経済規模を有し近年著しい経済成長を遂げるインドとの間における、貿易の自由化・円滑化、投資の促進、関連分野の制度整備等について定めたものです。
この協定は、我が国にとって、すでに発効しているシンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピン、スイス、ベトナムに続き、12番目の経済連携協定となります。
参考:
URL