マイクロマシン/MEMSを取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信します。
1、 人口、2年連続して減少
総務省は、8月9日、住民基本台帳に基づく平成23年3月31日現在の人口を発表しました。
それによりますと、同時点での全国の人口は1億2,623万人でした。今回の調査では岩手、宮城、福島の22市町村では住基台帳の流出などで集計できませんでしたので、これを除く数字となります。この22市町村を除いて、前年の数値から今回の数値を比較すると、対前年比12.3万人の人口減少となります。
全国の人口は、平成18年に初めて減少し、平成20年、21年と増加に転じましたが、平成22年、23年と連続して減少しました。
人口増加数が最も多かったのは東京都であり(5.2万人の増加)、また人口増加率が最も多いのは沖縄県でした(0.53%増)。
また、市部(特別区を含む)の人口割合は全国の人口の9割を超えています(90.6%)。
参考:
http://www.soumu.go.jp/main_content/000124293.pdf
2、月例経済報告(8月10日)
内閣府は、8月10日、月例経済報告を発表しました。
8月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの、持ち直している。」としています。基調判断については、2カ月ぶりに上方修正しました。
「先行きについては、サプライチェーンの立て直し、海外経済の穏やかな回復や各種の政策効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。ただし、電力供給の制約や原子力災害の影響、海外経済の下振れ懸念に加え、為替レート・株価の変動等によっては、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である」としています。
また、「政府は、「政策推進指針」に基づき、大震災がもたらした制約を順次、確実に克服するとともに、日本経済の潜在的な成長力を回復するよう取り組む。このため、平成23年度第1次及び第2次補正予算の速やかな執行等により、震災からの早期立ち直りを図る。また、7月29日、大震災からの復興に向け「東日本大震災からの復興の基本方針」を決定した。
日本銀行に対しては、引き続き、政府と緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な対応によって経済を下支えするよう期待する」としています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2011/0713getsurei/main.pdf
3、 食料自給率、40%割れ
農林水産省は、8月11日、2010年度の食料自給率を発表しました。自給率とは、国内で消費している食料をどれだけまかなえているかを示す数字です。
それによりますと、2010年度の食料自給率は、カロリーベースで09年度に比べて1%低下し39%となりました。自給率が40%割れするのは06年度以来4年ぶりとなります。なお、昭和40年度(1965年度)の自給率は73%でした。
低下の主な原因は、昨年の猛暑の影響で、てん菜、小麦、イモ類(ばれいしょ、かんしょ)の生産量が減少したことによります。また、2010年度における米の消費量は一人1年当たり59.5㎏であり、前年の58.5㎏より約1キログラム増加していますが、これは震災の影響で、消費者の間で米を買う動きが一時的に広がった影響と分析されています。
2010年度の食料自給率を生産額で見ますと69%です。この数字も前年度から1%低下しています。
政府は、2020年度には自給率を50%に引き上げる目標を掲げています。
参考:
http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/anpo/pdf/110811-01.pdf
4、 基準値改定で、消費者物価マイナスへ
総務省は、8月12日、全国消費者物価指数の基準改定を行った、新基準による消費者物価指数を発表しました。
これまでは2005年基準で消費者物価指数を計算してきましたが、この基準を2010年に改めました。これに伴い、これまで発表してきた消費者物価し指数について、2010年の新基準による値に改めたものです。
2005年の基準指数品目として挙がっていたもので2010年基準によると廃止された品目は22品目です。廃止された主なものは、ステレオセット、アルバム、丸干しイワシ、福神漬、やかん、レンジ台、草鞋等です。逆に追加された品目は28品目です。主なものは、電子辞書、ゲームソフト、メモリーカード、音楽ダウンロード料、フライドチキン、やきとり、背広服、婦人スーツ、紙おむつ(大人用)等となっています。また、品目別の構成割合も改定されています。例えば、薄型テレビの構成割合が3倍等となっています。
6月の生鮮食料品を除く総合の消費者物価で見ますと、改定された消費者物価指数では対前年比▲0.2%のマイナスとなっていますが、改定前の数字では0.4%のプラスとなっています。新基準では値下がりの目立つ家電製品等の割合が高くなっていますので一転消費者物価がマイナスとなったものです。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/cpi/index.htm
5、4~6月期のGDP実質1.3%減
内閣府は、8月15日、2011年4~6月期のGDP(国内総生産)の値の速報値(一時速報)を発表しました。
それによりますと、この期間のGDPは前期(1~3月)比で実質▲0.3%減となりました。年率に換算すると▲1.3%の減となります。マイナス成長は3期連続となります。08年4~6月には4期連続のマイナスでしたので、3期連続のマイナスはこれ以来となります。
ただ、マイナス幅は2010年10~12月期は前期比▲0.6%のマイナス、2011年1~3月期は同▲0.9%のマイナスでしたのでマイナス幅は減少しています。
マイナス0.3%の内訳を見てみますと、国内需要が0.4%の増加です。この内個人消費が▲0.1%のマイナスでしたが、公的需要が0.9%の増加となっています。一方、財貨・サービスの輸出は▲4.9%のマイナスとなりこれが、GDPを押し下げている主たる要因となっています。
参考:
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6、7月の貿易黒字、大幅減
財務省は、8月18日、7月分の貿易統計(速報)を発表しました。
7月の貿易黒字は725億円で、前年同月比91%の減となりました。輸出は5.8兆円で対前年同月比3.3%の減、輸入は5.7兆円で同9.9%増となりました。輸出額が前年同月比で減少するのは5カ月連続となります。輸入は19カ月連続の増です。また、貿易黒字となるのは2カ月連続となります。
輸出額で減少した主な品目は、船舶(対前年同月比▲31%減)、半導体等電子部品(同▲15%減)、自動車(同▲4%減)等となっています。輸入が増加した主な品目は、原粗油(+19%)、液化天然ガス(+48%)、石油製品(+47%)等となっています。
参考:
URL
7、内閣府、11年度の経済成長を0.5%と予測
内閣府は、8月12日、「平成23年度の経済動向について(内閣府年央試算)」を発表しました。
それによりますと、平成23年度の実質成長率を0.5%としています。1月の試算では1.5%でしたので下方修正したことになります。24年度の実質成長率については、2.7~2.9%の成長と予測しています。
23年度の消費者物価(総合)は0.2%の上昇率と修正しました。1月の予測では0.0%でしたが、エネルギー価格の上昇を受けて上方修正したものです。
また、2011年度の世界経済の成長率は、国際機関等の経済見通しを基に、3.6%と予測しています。今年1月の予測では3.2%でしたので上方修正したことになります。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai1/2011/h23shisan.pdf
8、7月の消費者物価、上昇
総務省は、8月26日、7月分の消費者物価指数の結果を発表しました。
それによりますと、値動きが激しい生鮮食料品を除く7月の消費者物価の上昇率は、前年同月比で0.1%の上昇となりました。前年同月比で上昇するのは2年7カ月ぶりとなります。
消費者物価指数は、7月分から基準年を2005年から2010年に切り替え、最近値下がりの激しい情報家電製品の割合を高めていますが、それでも物価が上昇したことになります。
対前年同月比で上昇した主な品目は、たばこ(+38%)、ガソリン(+10%)、電気代(+3%)等となっています。
これに対して、対前年比で下落した主な品目は、テレビ(▲30%)、電気冷蔵庫(▲26%)などとなっています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
9、7月の完全失業率、悪化
総務省は、8月30日、7月の完全失業率を発表しました。
7月の完全失業率(岩手、宮城、福島を除く)は4.7%であり前月に比べて0.1ポイント上昇しました。失業率は2カ月連続で悪化したことになります。
また、厚生労働省は同日、7月の有効求人倍率を発表しました。7月の有効求人倍率は0.64倍で前月に比べて0.01ポイント上昇(改善)しました。地域別に見ますと、東北地方で改善が目立っています(岩手+0.08、宮城+0.09、福島+0.05 等)。
参考:
URL1 URL2
10、経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査 2010年7月速報分 2011年8月31日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。7月分の概要(速報)は以下の通りです。
-回復しつつある鉱工業生産―
・今月は、生産、出荷が上昇、在庫は低下、在庫率は上昇であった。
・製造工業生産予測調査によると、8月上昇の後、9月は低下を予測している。
・総じて見れば、生産は日本大震災の影響から回復しつつある。
7月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
7月の生産は、前月比0.6%の上昇と4カ月連続の上昇 (前年同月比は▲2.8%の低下)となり、指数水準は93.2 (季節調整済)となった。生産の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、情報通信機械工業、一般機械工業等であった。品目別にみると、小型乗用車、携帯電話、駆動伝導・操縦装置部品の順に上昇に寄与している。
(2) 出荷
7月の出荷は、前月比0.2%の上昇と3カ月連続の上昇 (前年同月比は▲2.9%の低下)となり、指数水準は94.5 (季節調整済)となった。出荷の上昇に寄与した業種は、情報通信機械工業、精密機械工業、窯業・土石製品工業等であった。
(3) 在庫
7月の在庫は、前月比▲0.2%の低下と2か月連続の低下(前年同月比は4.0%の上昇)となり、指数水準は100.6(季節調整済み)となった。在庫の低下に寄与した業種は、情報通信機械工業、一般機械工業、石油・石炭製品工業等であった。
7月の在庫率は、前月比3.9%の上昇と3カ月ぶりの上昇(前年同月比は6.7%の上昇)となり、指数水準は116.3(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、8月は前月比2.8%の上昇、9月は▲2.4%の低下であった。8月の上昇は、一般機械工業、輸送機械工業、電気機械工業等により、9月の低下は、輸送機械工業、化学工業、情報通信機械工業等による。7月の実現率は▲2.2%、8月の予測修正率は▲1.5%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
11、4-6月期のGDP、下方修正
内閣府は、9月9日、2011年4-6月期のGDP(国内総生産)の改定値を発表しました。
それによりますと、同期間のGDPの値は、実質で▲0.5%の減少となりました。8月15日の速報値では▲0.3%でしたので、下方修正したことになります。年率換算では▲2.1%の減少となり、前回の速報値▲1.3%の減少から下方修正になります。
民間企業設備投資が下方修正されたことが大きな要因です(改定値は▲0.9%マイナス。速報値では+0.2%)。
参考:
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