マイクロマシン/MEMSを取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信します。
1、2011年の企業物価、対前年比で2%上昇
日銀は、1月16日、2011年の国内企業物価指数の結果を発表しました。企業物価指数とは、企業間で取引されている製品の価格水準を示したものです。
それによりますと、2011年の国内企業物価指数は対前年比で2.0%上昇しました。対前年比で上昇する歩は3年ぶりです。
上昇した主な製品は、石油・石炭製品(対前年比で+15%の上昇)、鉄鋼(同+7%)、非鉄金属(同+5%)等の国際商品が主なものです。一方、下落した主な製品は、情報通信機器(同7%の下落)、電気機器(同▲2%の下落)、等となっています。
また、同日、11年12月分の結果も発表されています。11年12月の国内物価指数は対前年同月比で1.3%の上昇となりました。対前年同月比で上昇するのは15カ月連続となります。ただ、上昇幅は前月(11月)の+1.6%から縮小しています。
参考:
http://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi1112.pdf
2、11月の機械受注、前月比で15%増
内閣府は、1月16日、昨年11月分の機械受注実績を発表しました。
それによりますと、民間投資設備の先行指数である「船舶・電力を除く民需」の11月の受注額は対前月比で14.8%増の7,900億円でした。これで3カ月連続のプラスとなります。
また、外需は対前月比で+20%増、官公需は▲5%の減となりました。
受注した機械は半年後ほど後に納入され設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となります。
参考:
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/1111gaiyou.pdf
3、月例経済報告(1月17日)
内閣府は、1月17日、月例経済報告を発表しました。
1月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、穏やかに持ち直している。」としています。基調判断については、3カ月連続して表現が同一です。
「先行きについては、各種の政策効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。ただし、欧州の政府債務危機が、金融システムに対する懸念につながっていることや金融資本市場に影響を及ぼしている等により、海外景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクが存在する。また、電力供給の制約や原子力災害の影響、さらには、デフレの影響、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である」としています。この表現は、前月を概ね踏襲したものです。
また、「政府は、震災からの復興に全力で取り組むとともに、欧州政府債務危機等による先行きリスクを踏まえ、景気の下振れの回避に全力を尽くす。また、デフレ脱却に断固として取り組み、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防ぐ。このため、「円高への総合的対応策」及び平成23年度第3次補正予算を迅速に実行する。12月20日、平成23年度第4次補正予算(概算)を閣議決定した。また、12月22日、「平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議了解し、同日24日、平成24年度予算(概算)を閣議決定した。
政府は、日本銀行と一体となって、速やかに安定的な物価上昇を実現することを目指して取り組む。デフレ脱却に向け、日本銀行に対しては、政府との緊密な情報交換・連携の下、適切かつ果断な金融政策運営を期待する」としています。
参考:
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4、2012年の世界経済減速、世界銀行の予測
世界銀行は、1月17日、世界経済の予測の結果を公表しました。今回の予測は、前回2011年6月の予測を修正したものです。
それによりますと、2012年の世界経済の成長率の予測は2.5%と予測しています。これは、前回6月の予測より▲1.1%下方修正したものです。この内、ユーロ圏の成長予測は▲0.3%のマイナス成長と予測しました。前回予測より▲2.1%下方修正しています。日本は1.9%の成長としていますが、前回より▲0.7%下方修正しました。米国は2.2%の成長で▲0.7%の下方修正です。また、中国は8.4%の成長としていますが、これも▲0.3%下方修正しています。
また、2013年の成長率は世界全体で3.1%の上昇(前回予測より▲0.5%下方修正)、としました。この内、ユーロ圏は1.1%成長(同▲0.8%下方修正)、日本は1.6%(同▲0.4%下方修正)、米国は2.4%(同▲0.3%下方修正)、中国は8.3%(同▲0.5%の下方修正)としています。
参考:
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5、日銀、12年度の成長率を引き下げ
日銀は、1月24日、政策委員会・金融政策決定会合において2011年度と2012年度の経済成長率の見通しを引き下げました。今回の見直しは、昨年10月の見通しを修正したものです。
それによりますと、2011年度の日本経済の実質成長率は▲0.4%のマイナス(前回10月の見通しより▲0.7%の引き下げ)、12年度は+2.0%(同▲0.2%の引き下げ)としました。
海外経済の減速や円高の影響などを考慮したとしています。
また、消費者物価は、2011年度は▲0.1%のマイナス(前回の見通しより▲0.1%引き下げ)、2012年度は+0.1%の上昇(前回と同じ)としています。
参考:
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k120124a.pdf
6、2011年は貿易赤字、31年ぶり
財務省は、1月25日、平成23年の貿易統計(速報)の概要を発表しました。
平成23年の貿易は2.5兆円の赤字になりました。貿易赤字になったのは31年ぶりです。23年の輸出は65.6兆円であり対前年比▲2.7%減少しました。これに対し、輸入は68.5兆円であり対前年比12%増加しました。
輸出の減少品目は、自動車(対前年比▲11%減)、半導体等電子部品(同▲14%減)、船舶(同▲9%減)等となっています。東日本大震災の影響を受けて輸出が減少したものです。
輸入の増加品目は、原粗油(+21%)、液化天然ガス(同+38%)、石油製品(同+④40%)等となっています。
参考:
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2011.pdf
7、IMFの経済見通し、下方修正
IMF(国際通貨基金)は、1月24日、世界経済見通し(アウトルック)を公表しました。今回の発表は、前回(昨年9月)の見通しを修正したものです。
それによりますと、2012年の世界全体の経済成長率を3.3%としています。これは、前回9月の見通しから▲0.7%下方修正しています。このうち、ユーロ圏の成長は▲0.5%のマイナス成長(前回の見通しから▲1.6%下方修正)、日本は1.7%、(同▲0.6%下方修正)、米国は1.8%(前回と同じ)、中国は8.2%(同▲0.8%下方修正)としています。
また、2013年の世界全体の成長率は3.9%と予測しています。これは前回9月の予測より0.6%下方修正しています。このうち、ユーロ圏の成長は0.8%(同▲0.7%下方修正)、日本は1.6%(同▲0.4%下方修正)、米国は2.2%(同▲0.3%下方修正)、中国は8.8%(同▲0.7%下方修正)としました。
参考:
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8、国富、3年連続で減少
内閣府は、1月25日、「平成22年国民経済計算確報」を公表しました。
それによりますと、平成22年(2010年)暦年末における国富(資産から負債を差し引いた正味資産)は3,036兆円です。これは、前年末比で▲1.2%の減少であり、3年連続で減少となりました。国富の過去最大値は平成2年末の3,532兆円です。
この内、資産残高は8,500兆円であり前年比+0.5%の増加となりました。この内、土地などの非金融資産は2,785兆円(対前年比▲0.8%減)、金融資産は5,715兆円(同+1.1%)です。土地資産は1,205兆円で対前年比▲1.8%の減少となりました。
正味資産3,036兆円のうち、家計資産(個人企業を含む)は2,229兆円で対前年比▲0.1%の減少です。家計資産のうち、金融資産は1,507兆円です(対前年比+0.4%増)。非金融資産は1,081兆円です(同▲1.3%減)。
参考:
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9、企業の海外への移転は増加傾向
経済産業省は、1月26日、「企業活動基本調査(平成23年3月31日現在)」の結果を公表しました。概要は以下の通りです。
① 海外子会社を持つ製造業の企業数の比率は24.9%(前年は24.4%)であり調査開始以来最高値を更新した。
② 製造企業の内、1企業当たりの小会社の保有数は、国内が5.3社であるのに対し海外は7.2社であり、海外の方が多い。
③ 製造業の海外子会社の地域別構成比では、中国が26.6%(対前年比+0.1%増)、中国を除くアジアが29.7%(昨年と同じ)、ヨーロッパが19.2%(同▲0.2%減)、北米が17.6%(同▲0.3%減)でした。
参考:
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10、2011年の消費者物価、3年連続で下落
総務省は、1月27日、平成23年の消費者物価の状況を公表しました。
平成23年平均の消費者物価は、生鮮食料品を除く総合で対前年比▲0.3%下落しました。下落は3年連続です(平成21年は▲1.3%の下落、平成22年は▲1.0%の下落)。また、生鮮食料品を含む総合でも▲0.3%下落しています。
下落幅が大きい品目は、テレビ(対前年比▲31%下落)、電気冷蔵庫(同▲26%下落)、公立高校授業料(同▲94%減)等となっています。
一方、上昇した主な品目は、灯油(同+18%)、たばこ(同+26%)、ガソリン(同+10%)等となっています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/nen/pdf/zen-n.pdf#page=4
11、日本の人口、将来は大幅に高齢化
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、1月30日、日本の長期的な推計人口を発表しました。概要は以下の通りです。
(1) 日本の人口は将来的に減少の予定。2010年の1.28億人から、2030年には1.17億人、2060年には0.87憶人になると予想される。この間の人口減少率は32%。
(2) 同推定期間内(2010年~2060年)に、年少人口(0~14歳)の割合は13%から9%に減少。生産年齢人口(15~64歳)の割合は、64%から51%に減少。
(3) 一方、この間の老年人口(65歳以上)の割合は、23%から40%の上昇と予想される。
参考:
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/point.pdf
12、経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査 2011年12速月分報分 2012年1月31日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。12月分の概要(速報)は以下の通りです。
-生産は横ばい傾向―
・今月は、生産、出荷が上昇、在庫、在庫率は低下であった。
・製造工業生産予測調査によると、1月、2月とも上昇を予測している。
・総じて見れば、生産は横ばい傾向にある。
12月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
12月の生産は、前月比4.0%の上昇と2カ月ぶりの上昇(前年同月比は▲4.1%の低下)となり、指数水準は93.6 (季節調整済)となった。生産の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業等であった。品目別にみると、普通乗用車、携帯電話、半導体製造装置等の順に上昇に寄与している。
(2) 出荷
12月の出荷は、前月比4.5%の上昇と2カ月ぶりの上昇前年同月比は▲3.1%の低下)となり、指数水準は95.5 (季節調整済)となった。出荷の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業等であった。
(3) 在庫
12月の在庫は、前月比2.9%の低下と2カ月連続の低下(前年同月比は3.4%の上昇)となり、指数水準は100.0(季節調整済み)となった。在庫の低下に寄与した業種は、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、情報通信機械工業等であった。
11月の在庫率は、前月比▲3.6%の低下と3カ月連続の上低下(前年同月比は3.8%の上昇)となり、指数水準は112.0(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、1月は前月比2.5%の上昇、2月は同1.2%の上昇であった。1月の上昇は、情報通信機械工業、輸送機械工業、一般機械工業等により、2月の上昇は、電子部品・デバイス工業、紙・パルプ工業等による。12月の実現率は0.4%、1月の予測修正率は▲0.4%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
13、12月の失業率上昇
総務省は、1月31日、2011年12月の労働力調査の結果(速報)を発表しました。
12月の完全失業率は4.6%であり、前月に比べて0.1%上昇しました。
また、23年平均の結果についても併せて発表しました。23年平均(岩手、宮城、福島の各県を除く)の完全失業率は4.5%です。これは、前年に比べて0.5%上昇した値となります。
同日、厚生労働省は2011年12月の一般職業紹介状況を発表しました。それによりますと、12月の有効求人倍率(季節調整値)は0.71倍であり、前月に比べて0.02%上昇しました。また、併せて11年平均の有効求人倍率(季節調整値)も発表しました。11年平均の有効求人倍率は0.65倍です。これは前年を0.13%上回る数字です。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/05400.pdf
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/youyaku.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020x6j.html
14、2011年の給与、減少
厚生労働省は、2月1日、「毎月労働調査:平成23年分速報」を発表しました。
それによりますと、2011年の現金給与総額(従業員5人以上)は、平均月給が31.7万円でした。これは前年比で▲0.2%減です。
この内、所定内給与は24.4万円であり対前年比0.4%減となりました。また、残業等の所定外給与は同+0.8%増の1.83万円です。
平均月間総実労働時間は、対前年比で▲0.4%減の145.6時間となりました。
常用雇用は、前年比で▲0.7%増と8年連続増となっています。この内、一般労働者は+0.2%増、パートタイム労働者は+1.9%増です。
参考:
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15、2011年の経常収支の黒字は半減
財務省は、2月8日、2011年の国際収支状況(速報)を公表しました。
2011年の我が国の経常収支は9.6兆円の黒字でした。前年が17.2兆円の黒字でしたので黒字幅は対前年比▲44%の減少となります。
この内、貿易収支は1.6兆円の赤字となりした。貿易収支が赤字となるのは48年ぶりです。輸出が63兆円で対前年比▲2%の減少だったのに対し、輸入は64兆円で同+15%増となったのが原因です。
一方、所得収支は14兆円の黒字で、対前年比+20%増となっています。直接投資収益の増加、配当金の受け取り増加等による証券投資収益の増加等により、所得収支は4年ぶりに増加しました。
参考:
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