マイクロマシン/MEMSを取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信します。
1、 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の詳細が決定
経済産業省は、6月18日、「再生可能エネルギー固定価格買い取り制度」について、価格の詳細を決定しました。
それによりますと、本年度(今年7月~来年3月末まで)の再生可能エネルギー賦課金単価は0.22円/kWhとするとしています。これを基にしますと、標準家庭(電気の使用量300 kWh/月、電気料金7000円/月)の負担水準は、全国平均で87円/月になるとしています。なお、本年度については、太陽光発電の余剰電力買い取り制度に基づく太陽光発電促進賦課金も併せて負担するとしています。
太陽光発電促進賦課金単価は、電力会社毎に異なるため、各地域により負担水準は異なり、最も高い九州電力では111円/月、最も低い北海道電力では75円/月となります。
参考:
http://www.meti.go.jp/press/2012/06/20120618001/20120618001-1.pdf
2、5月の貿易収支、3カ月連続で赤字
財務省は、6月20日、5月分の貿易統計(速報)を発表しました。
それによりますと、5月の貿易収支は9,073億円の赤字でした。赤字は3カ月連続となります。
この内、輸出は5.2兆円であり、対前年同月比で+10%の増加となった。輸出の増加した主な品目は、自動車(対前年同月比+87%)、自動車の部品(同+46%)、原動機(同+19%)等となっている。輸入は、6.1兆円であり、対前年同月比で9%の増加となった。輸入の増加した主な品目は、液化天然ガス(対前年同月比+44%)、原粗油(同+11%)、石油製品(同+30%)等となっている。
参考:
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2012_05.pdf
3、月例経済報告(6月22日)
内閣府は、6月22日、月例経済報告を発表しました。
6月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として、穏やかに回復しつつある。」としています。基調判断については、9カ月ぶりに総括判断を引き上げた前月の表現を引き継ぎました。
「先行きについては、復興需要等を背景に、景気回復の動きが確かなものになることが期待される。ただし、欧州政府債務危機を巡る不確実性が再び高まっており、こうしたこと等を背景とした金融資本市場の変動や海外景気の下振れ等によって、我が国の景気が下押しされるリスクが存在する。また、電力供給の制約、デフレの影響等にも注意が必要である」としています。
また、「政府は、大震災からの復興に全力を尽くすとともに、欧州政府債務危機等による先行きリスクを踏まえ、景気の下振れの回避に万全を期す。また、デフレ脱却に断固として取り組み、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防ぐ。このため、平成23年度の補正予算に盛り込まれた施策を迅速に実行するとともに、平成24年度予算を着実に執行する。
政府は、日本銀行と一体となって、速やかに安定的な物価上昇を実現することを目指して取り組む。デフレ脱却に向け、日本銀行に対しては、政府との緊密な情報交換・連携の下、引き続き適切かつ果断な金融政策運営を期待する」としています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2012/0622getsurei/main.pdf
4、5月の小売業販売額、前年同月比で4%増
経済産業省は、6月28日、5月の商業販売額統計(速報)を発表しました。
それによりますと、5月の小売販売額は11.3兆円であり前年同月比で3.6%増となりました。増加は6カ月連続となります。東日本大震災以降の景気回復で販売額が増加したものです。
小売業の業種別で増加した主な品目は、自動車小売業(対前年同月比+47%)、医薬品・化粧品小売業(同+3%)、燃料・小売業(同+2%)等となっています。エコカー補助金(来年1月まで)の制度で自動車小売業の販売額が大幅に増加しています。一方、機械機器小売業は大幅なマイナス(同▲24%減)となっています。これは、薄型テレビなどの家電製品の売り上げ不振が原因です。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result/pdf/h2sapdfj.pdf
5、経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査:2012年5月分速:2012年6月29日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。5月分の概要(速報)は以下の通りです。
-生産は持ち直しの動きで推移―
・今月は、生産、出荷、在庫、在庫率とも低下であった。
・製造工業生産予測調査によると、6月、7月とも上昇を予測している。
・総じて見れば、生産は持ち直しの動きで推移している。
5月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
5月の生産は、前月比▲3.1%の低下と2カ月連続の上昇 (前年同月比は6.2%の上昇)となり、指数水準は92.4 (季節調整済)となった。生産の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、化学工業(除、医薬品)、一般機械工業等であった。品目別にみると、普通乗用車、普通トラック、小型乗用車の順に低下に寄与している。
(2) 出荷
5月の出荷は、前月比▲1.5%の低下と4か月ぶりの低下(前年同月比は11.6%の上昇)となり、指数水準は95.0 (季節調整済)となった。出荷の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、情報通信機械工業、化学工業(除、医薬品)等であった。
(3) 在庫
5月の在庫は、前月比▲0.6%の低下と3カ月ぶりの低下(前年同月比は4.8%の上昇)となり、指数水準は108.9(季節調整済み)となった。在庫の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、鉄鋼業、電子部品・デバイス工業、等であった。
5月の在庫率は、前月比▲3.7%の低下と3カ月ぶりの低下(前年同月比は▲2.3%の低下)となり、指数水準は118.7(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、6月は前月比2.7%の上昇、7月は同2.4%の上昇を予測している。6月の上昇は、電子部品・デバイス工業、一般機械工業、電機械工業等により、7月の上昇は、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、化学工業等による。5月の実現率は▲1.7%、6月の予測修正率は▲1.4%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
6、5月の失業率、改善
総務省は、6月29日、5月分の労働力調査(速報)を発表しました。
それによりますと、5月の完全失業率(季節調整値)は4.4%でした。対前月比▲0.2%の低下となります。改善は3カ月ぶりです。完全失業率を男女別に見ますと、男性が4.5%(対前月比▲0.3%の低下)であり、女性は4.3%(同0.1%の上昇)です。
また、同日、厚生労働省は、5月の一般職業状況を発表しました。5月の有効求人倍率(季節調整値)は0.81倍となり、前月比に対して0.02%上昇(改善)しました。改善は12カ月連続となります。また、有効求人倍率が0.8倍を超えるのはリーマンショックが起きた2008年9月以来3年8カ月ぶりとなります。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/05400.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002dmfw.html
7、5月の消費者物価、下落
総務省は、6月29日、5月の消費者物価指数を発表しました。
それによりますと、5月の全国の消費者物価指数(生鮮食料品を除く総合)は前年同月比で▲0.2%下落しました。下落は4カ月ぶりです。
対前年同月比で下落した主な品目は電気冷蔵庫などの家庭用耐久財(対前年同月比▲11%下落)、ノート型パソコン(同▲18%下落)等となっています。一方、上昇した主な品目は、電気代(同6%増)等となっています。ガソリン、電気代、灯油などの上昇幅は縮小しました。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
8、模倣品、中国に関する相談案件が半数以上
「模倣品・海賊版対策の総合窓口に関する年次報告(2012年版)」が6月26日に発表されました。報告書は、政府が窓口となって行っている相談受付業務等の内容をとりまとめたものです。また、同報告書は、経済産業省及び8つの関係省庁が協力して作成しており、今回で7回目となります。2012年版の概要は以下の通りです。
(1)2011年は、1,102件の企業等から相談・情報提供を受けた。この件数は前年2010年の1,563件から減少している。
(2)「商標権侵害」が最も多く全体の38%である。ついで、「不正競争」(21%)、著作権(17%)、特許権(12%)の順になっている。
(3)相談案件件数を国別でみると、「中国」が64%で最も多い。ついで、「台湾」(10%)、韓国(6%)等となっている。
(4)模倣被害を受けた企業のうち、5割以上(54%)の企業がインターネット上で模倣被害を受けている。内容は、「インターネット通販サイトによる販売取引」が最も多く63%である。被害を受けている権利は、「商標」(36%)、「意匠」(14%)、「特許・実用新案」(7%)等となっている。
参考:
URL
9、日銀の短観、6月は改善
日銀は、7月2日、6月の企業短期経済観測調査(短観)の結果を発表しました。
それによりますと、大企業製造業の業況判断指数(DI:景気が良いと答えた企業数から悪いと答えた企業数を引いた指数。プラスなら景気が良いと答えた企業数が多いことになる)はマイナス1となり、前回3月の調査から3ポイント上昇(改善)しました。このうち、自動車のDIはプラス32であり、前回3月の調査から4ポイント上昇しました。
ただ、中小企業の製造業ではDIがマイナス12であり、前回調査より2ポイント悪化しています。
参考:
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2011/tka1206.pdf
10、中小企業の景況、持ち直しの動き
中小企業基盤整備機構は、7月2日、「第128回中小企業景況調査(2012年4-6月)」の結果を発表しました。
その概要は以下の通りです。
(1) 同期間における中小企業全産業の業況判断DIは、前期比でマイナス幅が縮小した。(前期がマイナス▲24.2→今期はマイナス▲21.7)
(2) 製造業の業況判断DIは、マイナス幅がやや拡大した。(前期▲19.0→今期▲20.4)
業種別でマイナス幅が拡大(業況判断が悪くなった)したのは、輸送用機械器具、鉄鋼・非鉄金属、パルプ・紙・紙加工品等の業種であった。
これは、円高、原材料価格の高騰などの影響が考えられる。
(3) 非製造業の業況判断DIはマイナス幅が縮小した。(前期▲26.3→今期▲22.0)
参考:
http://www.meti.go.jp/press/2012/07/20120702003/20120702003.pdf