1、 アジア開発銀行、アジアの成長率を下方修正
アジア開発銀行(ADB)は、7月12日、日本などの先進国を除くアジア地区の2012年の成長率の見直し結果を発表しました。今回の修正は前回4月の見通し(アウトルック)を修正したものです。
それによりますと、日本などの先進国を除くアジア地区の2012年の国内総生産(GDP)の成長率を6.6%としました。これは、前回4月の予測よりも▲0.3%下方修正したものです。
この要因として、米国やユーロ圏の経済落ち込みによる輸出減が主な原因としています。
2013年の成長予測は7.1%としています。これも、前回4月の予測を▲0.2%下方修正しています。
国別で見ますと、中国の2012年の成長率は8.2%(前回4月の予測より▲0.3%減)、2013年は8.5%(同▲0.2%)としています。また、インドの2012年の成長は6.5%(同▲0.5%減)、2013年は7.3%(同▲0.2%減)としています。
参考:
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2、 IMF、世界経済の成長率予測を下方修正
国際通貨基金(IMF)は、7月16日、世界経済見通し(アウトルック)の修正をしました。今回の修正は、前回4月から修正したものです。
それによりますと、2012年の世界の経済成長を見通しを3.5%としました。これは前回4月も見通しより▲0.1%下方修正したものです。その原因として、欧州の通貨危機が世界に波及し世界全体の経済成長を遅らせているとしています。
2012年の成長率を国別に見ますと、ユーロ圏が▲0.3%のマイナス成長(前回4月の見通しと同じ)、米国が2.0%(同▲0.1%下方修正)、日本が2.4%(同+0.4%)、中国が8.0%(同▲0.2%)、インドが6.1%(同▲0.7%)等となっています。
また、2013年の成長率は3.9%としました。これは前回4月の見通しから▲0.2%下方修正したものです。国別では、日本が1.5%(同▲0.2%)、ユーロ圏が0.7%(同▲0.2%)、米国が2.3%(同▲0.1%)、中国が8.5%(同▲0.3%)、インドが6.5%(同▲0.7%)等となっています。
参考:
http://www.imf.org/external/pubs/ft/survey/so/2012/NEW071612A.htm
3、月例経済報告(7月23日)
内閣府は、7月23日、月例経済報告を発表しました。
7月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として、穏やかに回復しつつある。」としています。基調判断については、3カ月連続で据え置きました。
「先行きについては、復興需要等を背景に、景気回復の動きが確かなものになることが期待される。ただし、欧州政府債務危機を巡る不確実性が依然として高い中で、世界経済に減速感が広がっている。こうした海外経済の状況が、金融資本市場を通じた影響を含め、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、電力供給の制約、デフレの影響等にも注意が必要である」としています。
また、「政府は、大震災からの復興と景気の下振れ回避に全力を期すとともに、我が国経済にとって当面の最大の課題であるデフレ脱却に向け、日本銀行と一体となって、断固として取り組む。また、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防ぐ。デフレ脱却に向けては、適切なマクロ経済政策運営とともに、デフレを生みやすい経済構造を改革することが不可欠である。このため、政府として、平成25年度までを念頭に、「モノ」「人」「お金」を動かす観点から政策手段を動員する。日本銀行に対しては、政府との緊密な情報交換・連携の下、デフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続するよう期待する。」としています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2012/0723getsurei/main.pdf
4、2012年上半期の貿易赤字は2.9兆円
財務省は、7月25日、2012年1~6月分の貿易統計(速報)を発表しました。
それによりますと、同期間の貿易赤字は2兆9,158億円の赤字でした。赤字額は比較可能な79年以降で過去最大となりました。
この期間中の輸出額は32.6兆円であり対前年比で+1.5%の増となりました。一方、輸入額は35.5兆円であり同+7.4%の増となっています。
輸入が増加した主な品目は、液化天然ガス(対前年同期比+49%)、原粗油(同+16%)等となっています。輸出が増加した主な品目は、自動車(同+38%)、金属加工機械(同+17%)等となっています。
また、同日、6月分の貿易統計(速報)も発表しました。6月の貿易収支は617億円の黒字となりました。黒字となるのは4カ月ぶりです。
参考:
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2012_06.pdf
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2012_1-6.pdf
5、WTO、中国によるレアアース等についてパネル設置
WTO(世界貿易機関)は、7月23日、中国がレアアース、タングステン、モリブデンに関して行っている輸出規制についてパネルを設置しました。
この問題については日本は米国及びEUとともにパネル設置要請を行っていたものです。パネルが設置されたことにより、今後この問題についてWTO内において手続きが進められていくことになります。なお、パネルによる判断に不服のある当事国は、最終審に相当する上級委員会に上訴することができます。
参考:
http://www.meti.go.jp/press/2012/07/20120723004/20120723004.pdf
6、経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査:2012年6月分速:2012年7月30日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。6月分の概要(速報)は以下の通りです。
-生産は横ばい傾向―
・今月は、生産、出荷、在庫が低下、在庫率は上昇であった。
・製造工業生産予測調査によると、7月上昇の後、8月は低下を予測している。
・総じて見れば、生産は横ばい傾向にある
6月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
6月の生産は、前月比▲0.1%の低下と3カ月連続の低下(前年同月比は▲2.0%の低下)となり、指数水準は92.1 (季節調整済)となった。生産の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、電機械工業、鉄鋼業等であった。品目別にみると、普通乗用車、半導体製造装置、シャシー・車体部品の順に低下に寄与している。
(2) 出荷
6月の出荷は、前月比▲1.5%の低下と2カ月連続の低下(前年同月比は▲1.6%の低下)となり、指数水準は93.7 (季節調整済)となった。出荷の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、一般機械工業、鉄鋼業等であった。
(3) 在庫
6月の在庫は、前月比▲1.4%の低下と2カ月連続の低下(前年同月比は6.1%の上昇)となり、指数水準は107.3(季節調整済み)となった。在庫の低下に寄与した業種は、情報通信機械工業、輸送機械工業、電気機械工業等であった。
6月の在庫率は、前月比4.0%の上昇と2カ月ぶりの上昇(前年同月比は7.2%の上昇)となり、指数水準は123.4(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、7月は前月比4.5%の上昇、8月は同▲0.6%の低下を予測している。7月の上昇は、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、一般機械工業等により、8月の低下は、電子部品・デバイス工業、その他、非鉄金属工業等による。6月の実現率は▲2.8%、7月の予測修正率は▲0.8%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
7、6月の失業率、改善
総務省は、7月31日、6月分の労働力調査(速報)の結果を発表しました。
6月の完全失業率(季節調整値)は4.3%でした。前月に比べて0.1ポイント低下(改善)しました。失業率が低下するのは2カ月連続となります。
また、同日、厚生労働省は6月分の一般職業紹介状況について発表しました。それによりますと、6月の有効求人倍率(季節調整値)は0.82倍でした。前月に比べて0.01ポイント上昇(改善)しています。新規求人数(原数値)は前年同月と比較すると12.1%増となりました。これを産業別に見ますと、医療・福祉(17%増)、卸売業・小売業(17%増)、宿泊業・飲食サービス業(16%増)などで増加しています。一方製造業では▲1%減となっています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/05400.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002g3h9.html
8、7月の企業物価、4カ月連続下落
日銀は、8月10日、7月分の企業物価指数(速報分)を発表しました。
それによりますと、7月の国内企業物価指数は前年同月に比べて2.1%下落しました。下落は4カ月連続となります。また、下落率は2010年1月(2.1%の下落)以来、2年半ぶりの大きさとなりました。また、前月比でも▲0.4%の下落となりました。
対前年前月比で下落した主な品目は、非鉄金属(対前年同月比▲12%の下落)、情報通信機器(同▲9%の下落)、石油・石炭製品(同▲9%)、鉄鋼(同▲9%)等となっています。
参考:
http://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi1207.pdf
9、4~6月の実質GDPは年率換算で1.4%増
内閣府は、8月13日、4~6月期の四半期別のGDP(国内総生産)の値(速報値)を発表しました。
それによりますと、同期間におけるGDP(実質、季節調整済)の成長率は対前期(1~3月)比で0.3%増となりました。年率に換算しますと1.4%増となります。名目では対前期比で▲0.1%減、年率換算で▲0.6%減となります。
GDP成長率の内寄与度で見ますと、実質は内需が0.4%増、輸出が▲0.1%減となっています。また、需要項目別で見ますと、個人消費が+0.1%増となっています。エコカー補助金が需要を押し上げたものとみられています。公共投資も+1.7%増と需要を押し上げました。
参考:
URL
10、政府、24年度の成長率2.2%、25年度の成長率は1.7%と予測
政府は、8月17日、閣議で2012~13年度の経済成長率見通しを了承しました。
それによりますと、2012年度の実質成長率は2.2%としています。これは、1月に閣議決定された値と同じ値となっています。
また、今回初めて2013年度の成長率の予測も公表しました。2013年度の実質成長率は1.7%と予測しました。また、同年度の名目成長率は1.9%と予測しています。名目の成長率が実質の成長率を上回ることになれば16年ぶりとなります。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2012/h24shisan.pdf
11、7月の貿易収支は赤字
財務省は、8月22日、7月分の貿易統計(速報)を発表しました。
それによりますと、7月分の貿易収支(輸出額から輸入額を差し引いたもの)は5,174億円の赤字でした。貿易収支は6月には4か月ぶりに黒字に転じましたが、再び赤字に転じたことになります。
この内、輸出額は5.3兆円であり対前年同月比で▲8%の減少、輸入額は5.9兆円であり同+2%の増加となっています。輸入の増加した主な品目は液化天然ガス(対前年同月比+24%)、通信機(同+35%)等となっています。一方、輸出が増加した主な品目は、自動車(+5%)等となっています。
輸出を地域別に見ますと、米国向けは増加していますが(同+5%)、EU向けが▲25%の減少、アジア向けが▲9%の減少(この内中国向けが▲11%の減少)となっています。
参考:
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2012_07.pdf
12、ロシアがWTOに加盟
ロシアは、8月22日、WTO(世界貿易機構)に正式に加盟しました。
ロシアは、7月に批准手続きが完了し、8月22日に発効したものです。これでロシアはWTOに対する156番目の加盟国となります。
参考:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/24/dgk_0822.html