1、 国民は「物の豊かさ」より「心の豊かさ」を重視
内閣府は、8月27日、「国民生活に関する世論調査」の結果を公表しました。この調査は、毎年行われており、今回の調査は今年6~7月に全国の20歳以上の男女1万人を対象に行われました。回収率は64%です。以下はその概要です。
①「心の豊かさ」と「物の豊かさ」のどちらを重視するかという質問では、「心の豊かさ」を重視と答えた割合が64%、「物の豊かさ」と答えた割合が30%となりました。調査を始めた昭和47年~51年初めまでは「物の豊かさ」を重視との回答が「心の豊かさを重視」との回答を上回っていましたが、年々「心の豊かさを重視」の割合が上昇し、今年はその割合が過去最高となりました。
②充実感を感じる時(複数回答可)では、「家族団らん」が51%で最も多く、「友人や知人と会合、雑談」が45%、「趣味やスポーツに熱中」が44%と続いている。
③悩みや不安の内容では、「老後の生活設計」が55%と最も多く、「自分の健康」が48%、「家族の健康」「今後の収入や資産の見通し」が41%と続いている。
④今後の生活では、「良くなっていく」と答えた割合が10%、「同じようなもの」が59%、「悪くなっていく」が30%となっている。
⑤今後の生活の力点では、「レジャー・余暇生活」が38%、「所得・収入」が33%、「資産・貯蓄」が32%と続いている。
参考:
http://www8.cao.go.jp/survey/h24/h24-life/index.html
2、月例経済報告(8月28日)
内閣府は、8月28日、月例経済報告を発表しました。
8月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、このところ一部に弱い動きがみられるものの、復興需要等を背景として、穏やかに回復しつつある。」としています。基調判断については、「このところ一部に弱い動きがみられるものの」との文言を加えて、基調判断を10カ月ぶりに下方修正しました。
「先行きについては、当面、世界景気減速の影響を受けるものの、復興需要等を背景に、景気回復の動きが続くと期待される。ただし、欧州政府債務危機を巡る不確実性が依然として高い中で、世界経済のさらなる下振れや金融資本市場の変動が、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、電力供給の制約、デフレの影響等にも注意が必要である」としています。
また、「政府は、大震災からの復興と景気の下振れ回避に全力を期すとともに、我が国経済にとって当面の最大の課題であるデフレ脱却に向け、日本銀行と一体となって、断固として取り組む。また、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防ぐ。デフレ脱却に向けては、適切なマクロ経済政策運営とともに、デフレを生みやすい経済構造を改革することが不可欠である。このため、政府として、平成25年度までを念頭に、「モノ」「人」「お金」を動かす観点から政策手段を動員する。また、7月31日に「日本再生戦略」を、8月17日に「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」を閣議決定した。日本銀行に対しては、政府との緊密な情報交換・連携の下、デフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続するよう期待する。」としています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2012/0828getsurei/main.pdf
3、経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査:2012年7月分速:2012年8月31日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。7月分の概要(速報)は以下の通りです。
-生産は横ばい傾向―
・今月は、生産、出荷が低下、在庫、在庫率は上昇であった。
・製造工業生産予測調査によると、8月上昇の後、9月は低下を予測している。
・総じて見れば、生産は横ばい傾向にある
7月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
7月の生産は、前月比▲1.2%の低下と2カ月ぶりの低下(前年同月比は▲1.0%の低下)となり、指数水準は91.5 (季節調整済)となった。生産の低下に寄与した業種は、電子部品・デバイス工業、一般機械工業、精密機械工業等であった。品目別にみると、モス型半導体集積回路(メモリ)、蒸気タービン部品、アクティブ型液晶素子(大型)の順に低下に寄与している。
(2) 出荷
7月の出荷は、前月比▲3.6%の低下と3カ月連続の低下(前年同月比は▲2.3%の低下)となり、指数水準は90.8 (季節調整済)となった。出荷の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、一般機械工業等であった。
(3) 在庫
7月の在庫は、前月比2.8%の上昇と3カ月ぶりの上昇(前年同月比は9.3%の上昇)となり、指数水準は110.5(季節調整済み)となった。在庫の上昇に寄与した業種は、電子・デバイス工業、情報通信機械工業、電気機械工業等であった。
7月の在庫率は、前月比3.8%の上昇と2カ月連続の上昇(前年同月比は10.0%の上昇)となり、指数水準は128.3(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、8月は前月比0.1%の上昇、9月は同▲3.3%の低下を予想。9月の低下は、輸送機械工業、情報通信機械工業、一般機械工業等による。7月の実現率は▲3.5%、8月の予測修正率は▲2.9%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
4、7月の失業率、横ばい
総務省は、8月31日、7月分の労働力調査(速報)の結果を発表しました。
それによりますと、7月の完全失業率(季節調整値)は4.3%でした。この数値は前月と同じです。完全失業率を男女別に見ますと、男性は4.5%(前月と同じ)、女性は4.1%(前月より0.1%上昇)です。
また、同日、厚生労働省は7月分の一般職業紹介状況について発表しました。それによりますと、7月の有効求人倍率(季節調整値)は0.83倍であり前月より0.01ポイント上昇(好転)しています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/05400.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002ib20.html
5、7月の消費支出、1.7%増
総務省は、8月31日、7月分の家計調査報告(速報)を公表しました。
7月における2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり28万3,295円であり実質で対前年同月比1.7%の上昇となりました。名目でも1.2%の増加です。対前年同月比で増加するのは6カ月連続です。ただ、季節調整値では対前月比で▲1.3%減少しています。
実質で対前年同月比増加した主な項目は、住居(対前年同月比+11%)、交通・通信(自動車購入など:同+19%)、保険医療(同+6%)、教育(同+5%)等となっています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
6、7月の消費者物価、下落
総務省は、8月31日、7月分の全国消費者物価指数の結果を発表しました。
それによりますと、生鮮食品を除く総合で7月の物価指数は対前年同月比で▲0.3%下落しました。下落するのは3カ月連続となります。総合指数でも対前年同月比で▲0.4%下落しています。
対前年同月比で下落した主な項目は、ガソリン(対前年同月比▲6%の下落)、テレビ(同▲4%の下落)、電気冷蔵庫(同▲29%の下落)等となっています。
一方、対前年同月比で上昇した主な品目は、電気代(+5%)等となっています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
7、政府、増税でも赤字の試算
政府は、8月31日、「経済財政の中長期試算」を公表しました。この中では、消費税増税(14年4月に8%、15年10月に10%)した場合でも財政赤字は赤字との試算となっています。
実質成長率を楽観的にみた場合(成長シナリオ、2011~20年度の平均成長率は1.8%)でも、20年度時点での国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス(PB))は8.5兆円の赤字(GDP比で1.4%)としています。これを消費税換算すると3%程度となります。また、悲観的にみた場合(慎重シナリオ、2011~20年度の平均成長率は1.1%)では、プライマリーバランスは15兆円の赤字(GDP比で2.8%)としています。消費税換算では5%強となります。
今回の試算では、消費税を10%に上げた場合でもプライマリーバランスが赤字となることになり、政府が目標とする20年度までに黒字とする国際公約は守られないことになります。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/h24chuuchouki8.pdf
8、7月の家庭の電気使用量、大幅減
総務省は、8月31日、7月分の家計調査報告を公表しましたが、家庭の電気使用量が大幅に減少していることが分かりました。
それによりますと、7月の1世帯当たりの電気使用量は342kWhとなり比較可能な2005年1月以降で最低の値になりました。前年同月に比べて7.3%減少しています。
また、7月の1世帯当たりの電気代は7,869円であり、前年同月に比較して3.6%減少しています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_rf1.pdf