1、月例経済報告(9月14日)
内閣府は、9月14日、月例経済報告を発表しました。
9月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、世界景気の減速等を背景として、回復の動きに足踏みがみられる。」としています。基調判断については、基調判断を10カ月ぶりに下方修正した前月に引き続き、2カ月連続で下方修正しました。
「先行きについては、当面は弱めの動きも見込まれるものの、復興需要等が引き続き発言するなかで、海外経済の状況が回復するにつれ、再び景気回復に向かうことが期待される。ただし、欧州政府債務危機を巡る不確実性が依然として高い中で、世界景気のさらなる下振れや金融資本市場の変動が、我が国景気を下押しするリスクとなっている。また、収益や所得の動向、デフレの影響等にも注意が必要である。」としています。
また、「政府は、大震災からの復興と景気の下振れ回避に全力を期すとともに、我が国経済にとって当面の最大の課題であるデフレ脱却に向け、日本銀行と一体となって、断固として取り組む。また、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防ぐ。デフレ脱却に向けては、適切なマクロ経済政策運営とともに、デフレを生みやすい経済構造を改革することが不可欠である。このため、政府として、平成25年度までを念頭に、「モノ」「人」「お金」を動かす観点から政策手段を動員する。8月31日、「中期財政フレーム(平成25年度~平成27年度)」を閣議決定した。9月7日、特例公債法案が未成立のため、「9月以降の一般会計予算の執行について」を閣議決定した。日本銀行に対しては、政府との緊密な情報交換・連携の下、デフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続するよう期待する。」としています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2012/0914getsurei/main.pdf
2、8月の貿易収支は赤字
財務省は、9月20日、8月分の貿易統計(速報)を発表しました。
それによりますと、8月の貿易収支は7,541億円の赤字でした。貿易赤字は2カ月連続となります。
8月の輸出額は5.0兆円であり対前年同月比で▲6%の減少となります。また、輸入額は5.8兆円であり同▲5%の減少です。
輸入額の減少で主なものは、原粗油(対前年同月比▲9%の減少)、石炭(同▲20%の減少)、非鉄金属(同▲31%減)等となっています。
参考:
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2012_08.pdf
3、経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査:2012年8月速報分:2012年9月28日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。8月分の概要(速報)は以下の通りです。
-生産は弱含み傾向―
・今月は、生産が低下、出荷は上昇、在庫、在庫率は低下であった。
・製造工業生産予測調査によると、9月低下の後、10月は横ばいを予測している。
・総じて見れば、生産は弱含み傾向にある
8月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
8月の生産は、前月比▲1.3%の低下と2カ月連続の低下(前年同月比は▲4.3%の低下)となり、指数水準は90.5 (季節調整済)となった。生産の低下に寄与した業種は、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、化学工業(除。医薬品)等であった。品目別にみると、モス型半導体集積回路(メモリ)、普通乗用車、アクティブ型液晶素子(中・小型)の順に低下に寄与している。
(2) 出荷
月の出荷は、前月比0.4%の上昇と4か月ぶりの上昇(前年同月比は▲3.1%の低下)となり、指数水準は91.7 (季節調整済)となった。出荷の上昇に寄与した業種は、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、一般機械工業等であった。
(3) 在庫
8月の在庫は、前月比▲1.6%の低下と2カ月ぶりの低下(前年同月比は5.9%の上昇)となり、指数水準は108.8(季節調整済み)となった。在庫の低下に寄与した業種は、情報通信機械工業、電子・デバイス工業、石油・石炭製品工業等であった。
8月の在庫率は、前月比▲2.9%の低下と3カ月ぶりの低下(前年同月比は8.1%の上昇)となり、指数水準は124.5(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、9月は前月比▲2.9%の低下、10月は同0.0%の横ばいを予想。9月の低下は、輸送機械工業、情報通信機械工業、鉄鋼業等による。10月は、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業等が上昇、一般機械工業、情報通信機械工業等が低下であった。8月の実現率は▲2.8%、9月の予測修正率は▲2.4
%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
4、8月の消費者物価、4カ月連続下落
総務省は、9月28日、8月分の全国の消費者物価の調査の結果を公表しました。
それによりますと、8月の生鮮食料品を除く全国の消費者物価は前年同月に比べて▲0.3%下落しました。対前年同月比で下落するのは4カ月連続となります。
前年同月比で下落した主な品目は、電気冷蔵庫(対前年同月比▲30%)、テレビ(同▲7%)、ガソリン(同▲6%)等となっています。一方、上昇した主な品目は電気代(同+6%)等となっています。
また、生鮮食料品を含む総合でも対前年同月比で▲0.4%下落しました。下落は3カ月連続となります。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
5、8月の失業率、低下
総務省は、9月28日、8月の労働力調査の結果(速報)を公表しました。
それによりますと、8月の完全失業率(季節調整値)は4.2%であり、前月に比べて0.1ポイント低下しました。
完全失業率を男女別に見ますと、男性が横ばいの4.5%、女性は0.4ポイント低下の3.7%でした。
また、同日、厚生労働省は、8月の一般職業紹介状況について公表しました。8月の有効求人倍率は0.83倍であり、前月と同水準です。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/05400.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002kb7f.html
6、アジア開銀、アジアの成長率を下方修正
アジア開発銀行は、10月3日、日本などの先進国を除くアジア地域の成長率見通しを発表しました。今回の見通しは、4月時点での見通しを修正したものです。
それによりますと、アジア地域(日本などの先進国を除く)の2012年の実質国内総生産(GDP)の成長率見通しを6.1%と予測しました。これは、前回4月の見通しより▲0.8ポイント下方修正しています。
国別に見ますと、中国は7.7%(前回4月の見通しより▲0.8%下方修正)、インドが5.6%(同▲1.4%減)、韓国が2.7%(同▲0.7%減)、台湾が1.7%(同▲1.7%減)等となっています。欧州の経済危機がアジアに及んでいることが原因と考えられています。
一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)は比較的堅調と見られています。マレーシアが4.6%(同+0.6%)、フィリピンが5.5%(同+0.7%)、タイが5.2%(同▲0.3%減)、ベトナムが5.1%(同▲0.6%)となっています。
また、2013年の成長率の見通しは6.7%としています。これは、前回4月の見通しより▲0.7%下方修正したものです。
参考:
URL
7、8月の製造業の残業労働時間、15カ月ぶりマイナス
厚生労働省は、10月2日、8月分の「毎月勤労統計調査」(事業規模5人以上、速報)の結果を発表しました。
それによりますと、8月の現金給与総額は27.4万円であり、対前年同月比で0.2%増となりました。増加するのは4カ月ぶりです。
一方、8月の製造業の所定外労働時間(残業)は前年同月比で▲2.7%減の13.8時間となりました。前年同月比で減少するのは15カ月ぶりとなります。これに伴い、製造業の8月の総労働時間も対前年同月比で▲0.9%減の155.7時間となっています。
参考:
URL
8、9月の個人景況感、4四半期ぶり悪化
日銀は、10月1日、9月の「生活意識に関するアンケート調査」の結果を発表しました。日銀は、3カ月毎に調査を行っていますが、今回の調査は6月以来となります。
それによりますと、9月の個人の景況感を示す判断指数(DI)はマイナス▲43.1となりました。景況感DIは、現在(1年前対比)について、「良くなった」から「悪くなった」との答えを引いたものです。この指数がマイナスになると、「悪くなった」という答えの方が多いという結果となります。マイナス幅が前期より増加するのは4半期ぶりとなります。
また、「収入」についても厳しさを増しています。1年前に比べて「収入が減った」と答えた人の割合が50.1%となり前期から4.9ポイント増加しました。1年後の「収入が減る」との答えは45.8%であり、6月の調査より4.7ポイント増加しています。
さらに、「現在の暮らし向き」についても厳しさを増しています。現在の暮らし向き(1年前対比)について、「ゆとりがなくなってきた」との答えは48.9%であり、6月の調査より1.9%増加しています。
参考:
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1210.pdf
9、日銀短観、3期ぶり悪化
日銀は、10月1日、9月の企業短期経済観測調査(短観)の結果を発表しました。この調査は、3カ月毎に実施しています。
それによりますと、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でマイナス▲3となり、6月の調査より2ポイント悪化しました。悪化するのは3カ月ぶりです。業況判断(DI)は、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業を引いた値となります。マイナスになりますと、景況感が「悪い」と答えた企業の方が多いという結果となります。
ただ、この調査の回答基準日は9月11日ですので、9月中旬から激しくなった尖閣問題の結果は反映されていません。
一方、非製造業の景況感(DI)は+8であり、6月の調査と同じ値となっています。東日本の復興需要を背景に建設や不動産のDIが対前期比で増加しています。
参考:
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2011/tka1209.pdf
10、日中韓FTAに関する事務レベル協議開始
9月27日、韓国のソウルにおいて、日中韓自由貿易協定(FTA)に関する事務レベルの協議が開始されました。
この協議は、5月13日に北京で行われた日中韓サミットにおいて、3カ国首脳間で日中韓FTAの交渉を年内に開始することで一致したことを受け、その一環として3カ国の事務レベル(課長クラス)の参加を得て開始されたものです。
今後は、年内の交渉開始に向け、引き続き調整を続けていくことになります。
参考:
http://www.meti.go.jp/press/2012/09/20120928003/20120928003.pdf