1、IMF、世界の経済成長を下方修正
IMF(国際通貨基金)は、10月9日、東京で開催された総会で、2012~13年の世界経済見通し(アウトルック)を発表しました。今回の見通しは前回7月の見通しを修正したものです。
それによりますと、2012年の世界の経済成長率の見通しを3.3%としました。これは、前回7月の見通しより▲0.2ポイント下方修正したものです。原因として、①欧州を中心とした金融システムの不安②財政再建が需要を減らしている等を挙げています。
国別に見ますと、日本が2.2%(前回7月の見通しより▲0.2%下方修正)、ユーロ圏が▲0.4%のマイナス成長(同▲0.1%下方修正)、米国が2.2%(同+0.1%)、中国が7.8%(同▲0.2%の下方修正)、インドが4.9%(同▲1.3%下方修正)等となっています。
また、2013年の成長率は3.6%と予測しました。これは、前回7月の見通しより▲0.3%下方修正しています。2013年の見通しを国別に見ますと、日本が1.2%(前回7月の予測より▲0.3%下方修正)、ユーロ圏が0.2%(同▲0.5%下方修正)、米国が2.1%(同▲0.1%下方修正)、中国が8.2%(同▲0.2%下方修正)、インドが6.0%(同▲0.6%下方修正)等となっています。
参考:
http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2012/02/pdf/c1.pdf
2、月例経済報告(10月12日)
内閣府は、10月12日、月例経済報告を発表しました。
10月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、引き続き底堅さも見られるが、世界経済の減速等を背景として、このところ弱めの動きになっている。」としています。基調判断については、3カ月連続で下方修正しました。
「先行きについては、当面は弱めの動きも見込まれる。その後は、復興需要等が引き続き発現するなかで、海外経済の状況が回復するにつれ、再び景気回復に向かうことが期待されるが、欧州や中国等、海外経済環境を巡る不確実性が依然として高い。こうした中で、世界景気のさらなる下振れや金融資本市場の変動が、我が国景気を下押しするリスクとなっている。また、収益や所得の動向、デフレの影響等にも注意が必要である。」としています。
また、「政府は、大震災からの復興と景気の下振れ回避に万全を期すとともに、我が国経済にとって当面の最大の課題であるデフレ脱却に向け、日本銀行と一体となって、断固として取り組む。また、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防ぐとともに、切れ目ない政策対応を行う。デフレ脱却に向けては、適切なマクロ経済政策運営とともに、デフレを生みやすい経済構造を改革することが不可欠である。このため、政府として、平成25年度までを念頭に、「モノ」「人」「お金」を動かす観点から政策手段を動員する。日本銀行に対しては、政府との緊密な情報交換・連携の下、デフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続するよう期待する。」としています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2012/1012getsurei/main.pdf
3、 上半期の貿易赤字、過去最大
財務省は、10月22日、平成24年度上半期(4月~9月)の貿易統計(速報)の結果を発表しました。
上半期の貿易赤字は3.2兆円の赤字でした。半期ベースの赤字は3期連続で、赤字幅は平成23年度下期(平成23年10月~平成24年3月)の2.7兆円の赤字を抜き過去最大でした。
この内、輸出額は32.2兆円であり対前年同期比で▲2.0%の減少でした。減少は3期連続です。輸出額で増加した主な品目は、自動車(対前年同期比+24%)、自動車の部分品(同+13%等となっています。
輸入額は35.4兆円であり対前年同期比で+2.6%の増加でした。輸入額で増加した主な品目は、液化天然ガス(対前年同期比+24%)、原粗油(同+8%)、通信機(同+35%)等となっています。
また、同日、9月分の貿易統計(速報)も発表しました。9月の貿易収支は▲5,586億円です。貿易赤字は3カ月連続です。
参考:
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2012_4-9.pdf
4、9月の消費者物価、下落
総務省は、10月26日、9月の全国の消費者物価指数を発表しました。
生鮮食料品を除く9月の消費者物価は、対前年同月比で0.1%下落しました。下落は、5カ月連続となります。
対前年比で下落した主な品目は、テレビ(▲5%)等となっています。一方、上昇した主な品目は、電気代(+7%)、ガソリン(+2%)都市ガス代(+5%)等となっています。
また、生鮮食料品を含む総合でも、対前年同月比で0.3%下落しました。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
5、経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査:2012年9月速報分:2012年10月30日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。9月分の概要(速報)は以下の通りです。
-生産は低下傾向―
・今月は、生産、出荷、在庫が低下、在庫率は上昇であった。
・製造工業生産予測調査によると、10月低下の後、11月は上昇を予測している。
・総じて見れば、生産は低下傾向にある
9月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
9月の生産は、前月比▲4.1%の低下と3カ月連続の低下(前年同月比は▲8.1%の低下)となり、指数水準は86.5 (季節調整済)となった。生産の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、一般機械工業、鉄鋼業等であった。品目別にみると、普通乗用車、小型乗用車、駆動伝導・操縦装置部品の順に低下に寄与している。
(2) 出荷
9月の出荷は、前月比▲4.4%の低下と2か月ぶりの低下(前年同月比は▲8.5%の低下)となり、指数水準は87.5(季節調整済)となった。出荷の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、一般機械工業、電機械工業等であった。
(3) 在庫
9月の在庫は、前月比▲0.9%の低下と2カ月連続の低下(前年同月比は4.8%の上昇)となり、指数水準は107.8(季節調整済み)となった。在庫の低下に寄与した業種は、情報通信機械工業、電子・デバイス工業、精密機械工業等であった。
9月の在庫率は、前月比4.2%の上昇と2カ月ぶりの上昇(前年同月比は11.0%の上昇)となり、指数水準は130.5(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、10月は前月比▲1.5%の低下、11月は同1.6%の上昇を予想。10月の低下は、情報通信機械工業、鉄鋼業、その他等による。11月の上昇は、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、化学工業等による。9月の実現率は▲1.5%、10月の予測修正率は▲2.9 %となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
6、9月の失業率、横ばい
総務省は、10月30日、9月の労働力調査(速報)の結果を公表しました。
それによりますと、9月の失業率(季節調整値)は4.2%であり対前月比で横ばいでした。
また、同日、厚生労働省は9月分の一般職業紹介状況について発表しました。それによりますと、9月の有効求人倍率は0.81倍でした。これは前月より0.02ポイント低下(悪化)しています。有効求人倍率が前月を下回るのは3年2カ月ぶりです。
この内、新規求人倍率(季節調整値)は1.24倍となり、前月を0.09ポイント下回っています。正社員有効求人倍率は0.51倍であり、前年同月を0.09ポイント上回りました。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/05400.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002mte2.html
7、9月の消費支出、8カ月ぶり減少
総務省は、10月30日、9月の家計調査報告(速報)を行いました。
2人以上の世帯の9月の消費支出は1世帯当たり26.7万円となっています。これは前年同月比で実質▲0.9%の減少となっています。減少するのは8カ月ぶりです。
対前年同月比で減少した主な項目は、住居費(▲15%の減少)、被服及び履物(▲3%の減少)、光熱・水道費(▲4%の減少)、教育費(▲24%減)、教養娯楽費(▲4%減)等となっています。
一方、上昇した主な品目は、交通・通信費(+12%)、家具・家事用品(+1%)等となっています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
8、14年度の消費者物価上昇は0.8%の見通し
日銀は、10月30日、「経済・物価情勢の展望」(日銀展望レポート)を公表しました。展望レポートは、日銀が年2回景気シナリオを示すものです。今回の展望レポートは前回7月時点での見通しを修正したものです。
それによりますと、2014年度の消費者物価指数(除く生鮮食料品)の上昇率の見通しを、消費税引き上げの影響を除くケースにおいて、0.8%としました。日銀が事実上のインフレ目標に挙げる1%には届かない見通しとなりました。日銀はこれまで、「1%の物価上昇は14年度以降、遠からず達成できる。」としてきました。しかし、今回の展望レポートでは、1%の物価上昇について、「14年度の物価上昇は1%に着実に近づいていく」という表現にしています。
12年度の物価上昇は▲0.1%の下落と見通しています。これは、7月時点での見通しである+0.2%より0.3%下方修正したものです。13年度は、+0.4%の上昇と▲0.3%下方修正しました。
また、実質GDP(経済成長率)については、2012年度が+1.5%(7月時点の見通しより▲0.7%下方修正)、13年度は+1.6%(同▲0.1%の下方修正)、14年度は+0.6%(今回初めての予測)としています。
参考:
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1210a.pdf
9、ユーロ圏の経済成長率の予測、下方修正
欧州連合(EU)は、11月7日、最新の経済見通しを発表しました。今回の発表は前回5月の予測を修正したものです。
それによりますと、2013年のユーロ圏17カ国全体の実質経済成長率(GDP)は+0.1%となると予測しました。これは、前回5月の予測よりも▲0.9%下方修正したものです。
主要国では、ドイツが+0.8%成長(前回5月の予測よりも▲0.9%下方修正)、フランスが+0.4%成長(同▲0.9%下方修正)、イタリアが▲0.5%のマイナス成長(同▲0.9%下方修正)、スペインが▲1.4%のマイナス成長(同▲1.1%下方修正)等となっています。
また、2014年の成長予測についても発表しました。2014年のユーロ圏全体の経済成長予測は+1.4%としています。
参考:
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-12-1178_en.htm
10、情報通信業基本調査、平成24年度の結果を公表
経済産業省及び総務省は、10月31日、「情報通信業基本調査」の第3回調査結果(速報)の結果を公表しました。調査時点は3月31日です。
それによりますと、情報通信業を営む企業の数は5,371社です。また、情報通信業に係る平成23年度売上高は41.1兆円です。売上高は対前年度比で+1.6%増(2カ年連続回答企業分のみの集計)となりました。
この内、売上高の割合が高い業種は、電気通信業(情報通信業に係る平成23年度売上高41兆円の内39%)、ソフトウエア業(同25%)、情報処理・提供サービス業(同13%)、民間放送業(同6%)、インターネット付随サービス業(同5%)、新聞業(同4%)等の順になっています。
参考:
http://www.meti.go.jp/press/2012/10/20121031006/20121031006-1.pdf