1、2012年度上半期の経常収支は大幅に減少
財務省は、11月8日、2012年度上半期(4~9月)の国際収支状況(速報)を公表しました。
それによりますと、同期間中の経常収支は2.7兆円の黒字でした。経常収支は、昨年同期比で▲41%減と大幅に減少しています。半期ベースで見ますと、90年度下半期(90年10月~91年3月)の2.1兆円の黒字に次ぐ小ささです。
この内、貿易収支(輸出―輸入)は▲2.6兆円の赤字であり、対前年同期比で1.2兆円も赤字幅が増大しています。貿易収支の赤字幅は比較可能な85年以降で最大となっています。
一方、所得収支(直接投資による収益等)は7.5兆円の黒字であり、前年同期比で黒字幅は+2%増えました。
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2、7~9月期のGDPは3期ぶりマイナス
内閣府は、11月12日、2012年7~9月期の4半期別GDP(速報値)を公表しました。
それによりますと、この期間のGDPは実質で▲0.9%減となりました。年率換算では▲3.5%のマイナスとなります。マイナスは3四半期ぶりです。
どの需要がGDPをどれだけ増加させたかを示す寄与度で見ますと、内需が▲0.2%、純輸出(輸出―輸入、外需)が▲0.7%となり外需が大きく減少したことが主な原因です。
また、項目別では、東日本大震災からの復興需要等で公共投資は+4.0%増加したものの、個人消費は▲0.5%の減となっています。民間設備投資も海外からの需要減が予想されることから▲3.2%の減となりました。
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3、2060年には中国のGDP世界の3割に
経済開発協力機構(OECD)は、11月9日、2060年までの長期経済見通しを公表しました。
それによりますと、2060年におけるGDP(国内総生産)は中国が世界全体の28%(2011年では17%)になり世界1位となるものと予測しています。現在(2011年)は米国が23%で1位ですが、最短で2016年に中国が米国を逆転し1位になるものと予測しています。
この他、2060年における世界経済に占めるGDPのシェアは、2位がインドで18%(現在は7%)、3位が米国17%(現在23%)となります。日本は3%(現在7%)、ユーロ圏は9%(現在17%)と予測しています。
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4、月例経済報告(11月16日)
内閣府は、11月16日、月例経済報告を発表しました。
11月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、世界経済の減速等を背景として、このところ弱い動きとなっている。」としています。基調判断については、4カ月連続で下方修正しました。4カ月連続の引き下げは、リーマンショック後の2008年10月~翌年2月にかけての5カ月連続の引き下げ以来となります。
「先行きについては、当面は弱めの動きも見込まれる。その後は、復興需要等が引き続き発現するなかで、海外経済の状況が改善するにつれ、再び景気回復に向かうことが期待されるが、欧州や中国等、海外経済環境を巡る不確実性は高い。こうした中で、世界景気のさらなる下振れや金融資本市場の変動等が、我が国景気を下押しするリスクとなっている。また、雇用・所得環境の先行き、デフレの影響等にも注意が必要である。」としています。
また、「政府は、大震災からの復興と景気の下振れ回避に万全を期す。また、政府及び日本銀行は、デフレからの早期脱却と持続的な成長経路への復帰に向けて、一体となって最大限の努力を行う。さらに政府は、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防ぐとともに、切れ目ない政策対応を行う。デフレ脱却のためには、適切なマクロ経済政策運営に加え、デフレを生みやすい経済構造を改革することが不可欠である。このため、政府としては、景気下押しリスクに対応し経済活性化に向けた取り組みを加速すべく、経済対策を速やかにとりまとめる。また、政府は、平成25年度までを念頭に、「モノ」「人」「お金」をダイナミックに動かすため政策手段を動員する。日本銀行に対しては、デフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続することを強く期待する。」としています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2012/1116getsurei/main.pdf
5、石油需要、2035年には2010年の23%増
OPEC(石油輸出国機構)は、11月8日、「石油市場見通し2012年版」を公表しました。
それによりますと、世界のエネルギー需要は、2035年までに2010年比で54%増加するとみています。これに伴い、世界の石油需要も増加し、2035年の需要は日量で1.1憶バレルになるものと予想しています。これは、2010年の23%増になります。
ただ、全エネルギー需要に占める石油の割合は、2010年の35%から2035年には27%に低下するものとみられています。石炭の需要に占める割合は29%と横ばい、ガスの割合は2010年の23%から2035年には26%に増加するものとみられています。
石油需要は途上国を中心に増えるものとみられており、先進国(OECD国=日本を含む先進国)の需要は2010年の47%から、2035年には41%に低下するものとみられています。
中国の割合は、2010年には9%ですが、2035年には18%になるものと予想しています。また、インドの割合は2010年には3%ですが、2035年には9%に増加するものとみられています。一方、アメリカの割合は、2010年の24%から2035年には22%に低下するものとみられています。
参考:
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6、平成23年度のエネルギー消費は、対前年度比で減
資源エネルギー庁は、11月16日、平成23年度のエネルギー需給実績(速報)を公表しました。
それによりますと、平成23年度の最終エネルギー消費は前年度比で▲2.9%(1990年度比では+4.7%)減少しました。これは、生産量の減少や節電効果等によるものです。
これをエネルギー源別の消費で見ますと、電力が大きく減少しています(対前度比で▲6.2%減)。
また、一次エネルギーの国内供給は、原子力が前年度比で▲65%減で大きく減少しています。一方、天然ガス(同+16%増)、石油(同+3%増)は増加しています。これは、原子力代替によるものです。
また、エネルギー起源の二酸化炭素排出量は、原子力発電所の停止により、前年度比で+4.4%増加(1990年度比では+10.7%増)と大幅に増加しています。
参考:
http://www.meti.go.jp/press/2012/11/20121116004/20121116004.pdf
7、世界経済は減速の予想
経済協力開発機構(OECD)は、11月27日、経済見通し(アウトルック)を発表しました。今回の予測は前回5月の予測を修正したものです。
それによりますと、2013年の経済の実質成長率はOECD全体で1.4%と下方修正しました。
この内、日本は0.7%と前回5月の予測1.5%から大幅に下方修正しました。米国は2.0%(前回予測より▲0.6%下方修正)、ユーロ圏は▲0.1%のマイナス成長(同▲1.0%下方修正)としています。
2012年についても成長率の予測を下方修正しています。日本が1.6%の成長(前回5月の予測より▲0.4%下方修正)、米国が2.2%(同▲0.2%の下方修正)、ユーロ圏が▲0.4%のマイナス成長(同▲0.3%の下方修正)としています。
また、今回初めて2014年の成長予測も公表しました。2014年の成長は、日本は0.8%の成長とみています。これは消費税引き上げの影響によるものです。米国が2.8%、ユーロ圏は1.3%の成長とみています。
参考:
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8、経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査:2012年10月速報分:11月30日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。10月分の概要(速報)は以下の通りです。
-生産は低下傾向―
・今月は、生産が上昇、出荷は横ばい、在庫は上昇、在庫率は低下であった。
・製造工業生産予測調査によると、11月低下の後、12月は上昇を予測している。
・総じて見れば、生産は低下傾向にある
10月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
10月の生産は、前月比1.8%の上昇と4カ月ぶりの上昇 (前年同月比は▲4.3%の低下)となり、指数水準は88.1 (季節調整済)となった。生産の上昇に寄与した業種は、電子部品・デバイス工業、金属製品工業、輸送機械工業等であった。品目別にみると、モス型半導体集積回路(メモリ)、アクティブ型液晶素子(中・小型)、太陽電池モジュールの順に上昇に寄与している。
(2) 出荷
10月の出荷は、前月比0.0%の横ばい(前年同月比は▲4.7%の低下)となり、指数水準は87.6 (季節調整済)となった。金属製品工業、化学工業(除、医薬品)、プラスティック製品工業等が上昇し、情報通信機械工業、一般機械工業、非鉄金属工業等が低下した。
(3)在庫
10月の在庫は、前月比0.3%の上昇と3カ月ぶりの上昇(前年同月比は4.2%の上昇)となり、指数水準は108.1(季節調整済み)となった。在庫の上昇に寄与した業種は、電子部品・デバイス工業、電機械工業、石油・石炭製品工業等であった。
10月の在庫率は、前月比▲1.8%の低下と2カ月ぶりの低下(前年同月比は9.8%の上昇)となり、指数水準は128.1(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、11月は前月比▲0.1%の低下、12月は同7.5%の上昇を予想している。11月の低下は、輸送機械工業、情報通信機械工業、鉄鋼業等による。12月の上昇は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、一般機械工業等による。10月の実現率は0.6%、11月の予測修正率は▲1.1%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
9、11月の失業率は横ばい
総務省は、11月30日、10月の労働力調査(速報)を発表しました。
それによりますと、10月の完全失業率(季節調整値)は4.2%でした。これは前月と同じ水準でした。2カ月連続で同水準となります。
また、同日、厚生労働省は、10月分の一般職業紹介状況の結果を発表しました。それによりますと、10月の有効求人倍率は0.80倍であり、前月に比べて0.01ポイント低下(悪化)しました。倍率が低下するのは2カ月連続です。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/05400.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002pf1g.html
10、10月の消費者物価は、横ばい
総務省は、11月30日、全国消費者物価指数を発表しました。
それによりますと、10月の全国の消費者物価指数(生鮮食料品を除く)は前月と比べて横ばいでした。
また、対前年同月比で見ても横ばいです。対前年同月比では5カ月連続でマイナスでしたが、10月は0.0です。ただ、生鮮食料品を含む総合では、対前比で▲0.4%の下落となり、5カ月連続で前年を下回っています。
項目別に見ますと、対前年同月比で上昇した主な品目は、電気代(+6%)、ガソリン(+4%)等となっています。一方、上昇した主な品目は、外国パック旅行(▲9%)等となっています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
11、温暖化ガス排出は増加
環境省は、12月5日、平成23年度の温室効果ガス排出量(速報値)について発表しました。
それによりますと、平成23年度の日本の温室効果ガスの総排出量は13.1憶トンであり、対前度比で3.9%増となりました。京都議定書の規定による基準年(CO2、CH4、N2Oは1990年度、HFCs、PFCs、SF6は1995年)の総排出量に比べると、3.6%の増加となります。
前年度に比べて排出量が増加した要因としては、東日本大震災の影響等により製造業の生産量が減少する一方、原子力発電所の停止、火力発電の増加によって化石燃料消費量が増加したことが原因です。
参考:
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=21128&hou_id=16054