1、11月の景気動向は「悪化」
内閣府は、1月10日、平成24年11月分の「景気動向指数」(速報)を公表しました。
「景気動向指数」とは、鉱工業生産指数、有効求人倍率、商業販売額、電力使用量等の複数の指標の変化率を合成し累積した指数です。変化の相対的な大きさやテンポなどを示したものです。指数の種類としては、景気に先行して動く「先行指数」、ほぼ一致して動く「一致指数」、遅れて動く「遅行指数」があります。この値が上昇すれば景気は上昇、下降すれば景気は後退となります。
11月分については、「一致指数」は前月と比べて0.6ポイント下落し、8カ月連続の下落となりました。これに伴い、景気の基調判断を「悪化」で据え置きました。
これは、海外経済の落ち込みを背景とする輸出の落ち込みなどで、企業の生産活動が停滞していることが原因です。
参考:
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/201211Psummary.pdf
2、11月の経常収支、10カ月ぶりの赤字
財務省は、1月11日、2012年11月の国際収支状況(速報)を発表しました。
それによりますと、11月の経常収支は▲2,224億円の赤字でした。赤字は10カ月ぶりとなります。
このうち、「貿易収支」は▲8,475億円の赤字でした。欧州や中国向けの輸出が減少したことなどにより、貿易収支の赤字幅は拡大しています。また、直接投資収益等の「所得収支」は8,915億円の黒字、旅行収支などの「サービス収支」は▲1,901億円の赤字でした。
参考:
URL
3、世界銀行、経済見通しを下方修正
世界銀行は、1月15日、世界経済見通しを発表しました。今回の見通しは、前回2012年6月の見通しを修正したものです。
それによりますと、2013年の世界の成長率(GDP)の見通しを2.4%としました。これは、前回6月の見通しである3.0%から▲0.6%下方修正したものです。米国の財政の崖、日本の対中関係の悪化などを指摘しています。
国別に見ますと、先進国の中では、米国が1.9%(前回2012年6月の値から▲0.6%下方修正)、日本が0.8%(同▲0.7%下方修正)、ユーロ圏がマイナス0.1%(同▲0.8%下方修正)としています。
一方、新興途上国全体の2013年の成長率は5.5%(同▲0.4%下方修正)としています。この内、中国は8.4%(同▲0.2%下方修正)、インドは6.1%(同▲0.8%下方修正)、ブラジルは6.1%(同▲0.8%下方修正)となっています。
2014年の世界全体の成長率は3.1%(前回6月の予測から▲0.2%下方修正)と2013年よりは成長率は高いとしています。この内、日本は1.2%(同▲0.3%下方修正)、米国は2.8%(前回と同じ)、ユーロ圏は0.9%(同▲0.5%下方修正)、中国は8.0%(同▲0.4%下方修正)、インドは6.8%(同▲0.3%下方修正)としています。
参考:
URL
4、国富、4年連続マイナス
内閣府は、1月18日、「平成23年度国民経済計算確報」を公表しました。
それによりますと、平成23年末の国全体の正味資産(国富:資産から負債を引いたもの)は2,995兆円となりました。これは、前年に比べて0.8%減となっています。国富の内訳について見ますと、資産は8,451兆円、負債は5,455兆円です。国富の前年割れは4年連続です。なお、国富の過去の最大値は、平成19年末の3,158兆円です。
資産の内訳を見ますと、土地は1,157兆円であり対前年比で▲2.9%減少していますが、これが資産の減少した主な要因となっています。一方、企業の直接投資等の対外純資産は265兆円であり、対前年比で+3.7%増加しています。
参考:
URL
5、政府・日銀、2%の物価上昇率を目標
政府・日銀は、1月22日、2%の物価上昇率を目標とする共同声明を発表しました。
デフレからの早期脱却と持続的な経済成長の実現に向け、政府・日銀が一体となって以下の様な政策連携を行うとしています。
① 「物価安定の目標の導入」
日銀は物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする。
日銀は、この物価安定の目標のもと、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指す。
② 「期限を定めない資産買い入れ方式」の導入
日銀は、上記の物価安定の目標を目指し、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れ等の措置を、それぞれ必要と判断される時点まで継続することを通じて、強力に金融緩和を推進する。当分の間、毎月、長期国債2兆円程度を含む13兆円程度の金融資産の買い入れを行う。
③ 政府は、機動的なマクロ経済政策運営に努めるとともに、日本経済再生本部の下、革新的研究開発への集中投入、イノベーション基盤の強化、大胆な規制・制度改革、税制の活用など思い切った政策を総動員する。
参考:
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122a.pdf
6、月例経済報告(1月23日)
内閣府は、1月23日、月例経済報告を発表しました。
1月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、このところ弱い動きとなっているが、一部に下げ止まりの兆しも見られる。」としています。基調判断については、8カ月ぶりに上方修正しました。
「先行きについては、当面は弱さが残るものの、輸出環境の改善や経済対策の効果などを背景に、再び景気回復に向かうことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、雇用・所得環境の先行き、デフレの影響等にも注意が必要である。」としています。
また、「政府は、日本経済を大胆に再生させるため、大震災からの復興を前進させるとともに、「経済と富の創出の好循環」へと転換し、「強い経済」を取り戻すことに全力で取り組む。円高是正、デフレからの早期脱却のため、デフレ予想を払拭するとともに、機動的・弾力的な経済財政運営により、景気の底割れを回避する。特に、最近、景気回復への期待を先取りする形で、過度な円高の動きが修正されつつあり、株価も回復し始めており、こうした改善の兆しを、適切な政策対応により景気回復につなげる。
このため、政府は、1月11日に「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を、同15日に平成24年度補正予算(概算)を閣議決定した。政府及び日本銀行は、1月22日、デフレ脱却と持続的な成長の実現のための政策連携の強化についての共同声明を公表し、日本銀行は、2%の物価安定目標を導入することにした。また、日本銀行は、同日、資産買い入れ等の基金について「期限を定めない資産買い入れ方式」の導入を決定した。日本銀行には、この物価安定目標をできるだけ早期に実現するよう、大胆な金融緩和を推進することを期待する。」としています。
参考:
URL
7、2013年の世界経済の成長率は3.5%、IMF
IMF(世界通貨基金)は、1月23日、最新の世界経済成長見通し(アウトルック)を公表しました。今回の見通しは、前回の2012年10月の見通しを修正したものです。
それによりますと、2013年の世界経済成長率を3.5%と予想しました。これは、前回10月の見通しより▲0.1%下方修正したものです。
これを国別に見ますと、日本が1.2%(前回10月の見通しと同じ)、米国は2.0%(同▲0.1%下方修正)、ユーロ圏は▲マイナス0.2%(同▲0.3%下方修正)、中国は8.2%(同、同じ)、インドは5.9%(同▲0.1%)等となっています。
また、2014年の世界全体の成長率は4.1%と予測しています。これは前回10月の見通しより▲0.1%下方修正したものです。これを国別に見ますと、日本は0.7%(前回10月の予測より▲0.4%下方修正)、米国は3.0%(同+0.1%上方修正)、ユーロ圏は1.0%(同▲0.1%下方修正)、中国は8.5%(同、同じ)、インドは6.4%(同、同じ)等と予測しています。
参考:
URL
8、2012年の貿易統計、過去最大の赤字
財務省は、1月24日、平成24年分の貿易統計(速報)を発表しました。
それによりますと、2012年の貿易収支(輸出―輸入)は6.9兆円の大幅な赤字になりました。貿易赤字は2年連続です。また、赤字幅は1980年の2.6兆円の赤字幅を上回り、比較可能な1979年以降で、過去最大となりました。
輸出額は63.7兆円(対前年比▲2.7%の減少)、輸入額は70.7兆円(同+3.8%)となっています。
輸入額で増加した主な品目は、液化天然ガス(対前年比+25%)、原粗油(同+7%)等となっています。一方、輸出額が増加した主な品目は、自動車(+12%)等となっています。
国別に見ますと、中国への輸出が▲11%減少、EUへの輸出が▲15%減少したことが目立っています。
参考:
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2012.pdf
9、2012年の消費者物価、0.1%下落
総務省は、1月25日、2012年平均の消費者物価指数を発表しました。
それによりますと、2012年平均の生鮮食料品を除いた消費者物価指数は対前年比で▲0.1%下落しました。マイナスは4年連続となりますが、前年の▲0.3%下落よりも下落幅が縮小しました。
対前年比で下落した主な品目は、テレビ(対前年比▲4%下落)、ノートパソコン(同▲16%下落)、外国パック旅行(同▲3%下落)、電気冷蔵庫(同▲29%下落)等となっています。
一方、対前年比で上昇した主な品目は、都市ガス代(+6%)、ガソリン(+1%)、穀類(+3%)、電気代(+6%)等となっています。
生鮮食料品を組む総合では、2012年平均で対前年比と同じレベル(0%)となっています。
参考:
URL
10、13年度の経済成長率は2.5%、政府見通し
政府は、1月28日、臨時閣議で2013年度の経済成長率(GDP)を実質で2.5%、名目で2.7%とすることを閣議了解しました。
民間最終消費支出は、消費税引き上げ前の増加が見込まれることから対前年度比で1.6%の増加と見込んでいます。また、政府支出は緊急経済対策等により前年度を上回り、この結果実質成長率を0.8%程度押し上げるとしています。
消費者物価指数は、景気回復に伴い、0.5%程度上昇すると見ています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2013/0128mitoshi.pdf
11、経済産業省の主な経済指標
(鉱工業指標調査:2012年12月速報分:2013年1月31日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。12月分の概要(速報)は以下の通りです。
-下げ止まりの兆しがみられる鉱工業生産―
・今月は、生産、出荷が上昇、在庫、在庫率は低下であった。
・製造工業生産予測調査によると、1月、2月とも上昇を予測している。
・総じて見れば、生産は下げ止まりの兆しがみられる。
12月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
12の生産は、前月比2.5%の上昇と2カ月ぶりの上昇 (前年同月比は▲7.8%の低下)となり、指数水準は88.9 (季節調整済)となった。生産の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、一般機械工業、電気機械工業等であった。品目別にみると、普通乗用車、反動知製造装置、駆動伝導・操縦装置部品の順に上昇に寄与している。
(2) 出荷
12月の出荷は、前月比4.4%の上昇と4カ月ぶりの上昇(前年同月比は▲7.2%の低下)となり、指数水準は90.6 (季節調整済)となった。出荷の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、一般機械工業、電機械工業等であった。
(3)在庫
12月の在庫は、前月比▲1.1%の低下と5カ月連続の低下(前年同月比は3.6%の上昇)となり、指数水準は105.2(季節調整済み)となった。在庫の低下に寄与した業種は、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業、電機械工業等であった。
12月の在庫率は、前月比▲0.6%の低下と3カ月連続の低下(前年同月比は12.2%の上昇)となり、指数水準は126.4(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、1月は前月比2.6%の上昇、2月は同2.3%の上昇を予想している。1月の上昇は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、等による。1月の上昇は、輸送機械工業、鉄鋼業、情報通信機械工業等による。12月の実現率は▲3.3%、1月の予測修正率は▲3.1%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
12、平成24年の給与、最低
厚生労働省は、1月31日、「毎月勤労統計調査・平成24年度分」(速報)を発表しました。調査は従業員が5人以上の事業所が対象です。
それによりますと、平成24年の平均給与(残業代、ボーナスを含む)は月額31.4万円でした。対前年比で▲0.6%減です。これは、統計がさかのぼれる1990年以降で最低の水準です。ピークは1997年の37.2万円でした。
パートタイム労働者労働者の占める割合は28.75%となり対前年比で+0.56ポイント増加しました。
参考:
URL
13、2012年の失業率は低下
総務省は、2月1日、平成24年の労働力調査の結果(速報)を公表しました。
それによりますと、平成24年平均の完全失業率は4.3%でした。これは、前年に比べて0.3ポイント低下しています。
また、同日、平成24年12月分の結果(速報分)も併せて公表しました。12月の完全失業率は4.2%(季節調整値)でした。前月に比べて0.1ポイント上昇(悪化)しています。
また、同日、厚生労働省は、平成24年及び同12月分の一般職業紹介状況を公表しました。それによりますと、平成24年平均の有効求人倍率は0.80倍でした。前年に比べて0.15ポイント上昇(好転)しています。12月単月の有効求人倍率は0.82倍であり、前月に比べて0.02ポイント上昇(好転)しています。
参考:
URL1 URL2 URL3