マイクロマシン技術研究開発プロジェクト(1991-2000年) MMPJアーカイブ
PJアウトカム > 3. 研究開発成果の評価
まえがき(総括)
1.PJの背景・技術開発の概要  4.1 技術の実用化
2.研究開発成果の概要   4.2 特許の出願・取得
3.研究開発成果の評価  4.3 ベンチャー企業の設立
4.産業波及効果    > > >  4.4 マイクロマシン展の活況
5.主要分野の成果波及と将来展望  4.5 国際標準化の進展

  研究開発成果の評価

 本プロジェクトの開発成果は、大きく分けて「要素技術開発」、「システム化技術開発」及び「これら技術の体系化」に関与している。

 この中で、マイクロマシン技術の体系化に挑戦したことは高く評価できるものの、実用的な視野からまとまった成果があったとは評価し難い。この原因は多分に、技術の体系化には当該分野の広範な技術そのものがある程度成熟した段階で可能なものであることに拠っており、今回のように、発展途上の技術に、しかも新規産業創出型産業科学研究開発制度の主旨にかなうような形での体系化を目指すことは、極めて困難であったと言わざるを得ない。

 一方、「要素技術開発」、「システム化技術開発」においては、世界初ないし世界最高水準の開発成果が数多く得られている。その意味では本プロジェクトは十分成功したものであると断定される。もちろん、世界最高水準のアウトプットが即アウトカムに繋がるものではないが、プロジェクト終了後5年を経過した現時点では、後章で述べるように、本プロジェクトの波及効果は膨大なものがあり、「マイクロマシン技術」はまさに21 世紀のわが国の産業基盤を支える技術分野として育成されつつあると言える。

 研究開発項目毎の評価は仔細に過ぎるので、総括的な評価になるが、

1)管内自走認識用試作システムでは、直径14mmφの小型マシンを無索で管内走行させ、駆動エネルギーと同時に管内環境情報の授受の可能性を実証した点で、世界最高水準の成果といえる。

2)細管群外部検査用システムにおいては、多数のマイクロマシンを自在に連結・分離し、システマテックな作業行動を実現する道を開いた点も、世界初で評価できる。

3)機器内部作業用試作システムでは、将来、複雑・狭隘な機器内部のモニタリング、溶接補修作業等が遠隔操作で可能になることを証明した点で、化学プラント分野や医療分野において、早期に実用化が期待できる成果を含むものとして評価できる。

4)マイクロ加工・組立用試作システムは、マイクロファクトリシステムを想定した技術開発であり、既に多数の公私のファンドリーファームが稼動しており、DTF(Desk Top Factory)研究会(長野県諏訪地方で27 企業・団体が参加)の活動のような動きもあり、最も実用化に近接した技術成果をあげたと言える。

5)機能デバイスの高度化技術については、多数の研究サブ項目があり一概に論じられないが、人口筋肉の研究や自由関節デバイス、マイクロカテーテル、マイクロ触覚センサ等、今日のマイクロマシンの医療分野への進展の基礎となりうる技術開発がなされたことは優れた成果である。

6)共通基盤技術についても、多数の研究サブ項目があるが、それぞれに高度な成果を得ている。特にマイクロマシンのような新規な製品を作った場合、それらの機能・品質、さらには安全性等の評価技術が伴わないと実用化・汎用化に繋がらないが、その面の研究も着実に成果を得ている点が評価できる。

7)総合調査研究は、本プロジェクトのように、当初、比較的基礎的な要素技術の開発からスタートし、途中で実用化を意識したシステム化開発に目標を切替えたこと、しかも関係実施機関が非常に多数であり、錯綜する開発進行管理を成功裏に達成し、今日の新規産業基盤の一つと呼ばれるまでに纏め上げた成果も大きなものである。

 総じて、本プロジェクトの開発技術を評価するならば、先の「評価報告書」にあるように、「計画と比較した達成度は、要素技術については高く評価できるが、『マイクロマシン技術の統合的体系化』の観点からは時期尚早の感もあり不十分である。要素技術については、今後実用化にいたる可能性が高く、波及効果も期待できる。」に尽きると思われる

(マイクロマシン技術に係るアウトカム調査報告書(2007年3月、NEDO調査)より)

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